会えないけれど近くにいたい…神戸のパンダ「タンタン」28歳お誕生日会に多くのファン“参加” 動物園が伝えたかった感謝の思い

茶良野 くま子 茶良野 くま子

会えないけれど近くにいたい—。心疾患を抱え、体調管理のため観覧休止が続く神戸市立王子動物園の人気者、ジャイアントパンダのタンタン(メス)が9月16日、28歳の誕生日を迎え、多くのファンが早朝から入園待ちの列に並びました。園ではファンにも“参加”してもらおうとさまざまな誕生日企画を用意し、感謝の思いを伝えました。 

 

タンタンは心臓に病気を抱えていることが分かり、検査や治療を優先させるため2022年3月から非公開に。日々の様子は園の公式SNSで頻繁に伝えられ、いつも多くのコメントが連なるなど人気ぶりは変わりません。誕生日当日の公式投稿にも「おめでとう」とお祝いのメッセージが相次ぎ、限定グッズなどを用意した園内ショップでは、入店、レジ待ち、それぞれに長蛇の列ができました。

 

同園はファンにも楽しんでもらおうと誕生日企画を用意。入園時、先着200組にプレゼントしたヒマワリの種は、パンダ館屋上で飼育担当者が植えて咲かせた花から収穫したもので、「タンタンの笑顔のような花を咲かせてほしい」との願いを込めました。また、観覧休止に伴って立ち入り禁止となっている屋外観覧通路を特別に開放。お祝いメッセージを自由に書き込めるノートを用意しました。

 

午後からは公式YouTubeチャンネルでライブ配信を実施。同園としては初の試みで、タンタンへの質問を事前募集し、パンダ館内の観覧通路から飼育員の梅元さんが答えました。質問総数680件の中から、タンタンの毛の触り心地や視力、嗅覚、鳴き声などに関する質問に回答。タンタンが大好きだというブラッシングにまつわる裏話も披露されました。

 

好きな匂い、嫌いな匂いは?という質問には、「やはり主食のタケの匂いが好きだと思います。消毒液の匂いが苦手ですが、必要なことなので少しずつ慣れてもらって、今は我慢して頑張ってくれていると思います」。タンタンの匂いは「ほぼ無臭」だそうです。

誕生日といえばいつも大注目の手作りケーキの解説も。もう一人の飼育員、吉田さんが考案してきた最近のケーキをパネルで紹介しながら、かわいらしいフルーツ氷のケーキや、巨大化が進んだ時期のケーキなど、試行錯誤を重ねてきたことを振り返りました。ちなみに吉田さんの一番の自信作は、25歳の誕生日にプレゼントした「ハンバーガーセット」とのことでした。

 

また、報道陣向けにパンダ館内が公開され、テレビ、新聞各社のカメラマンらが並ぶ中、タンタンは寝台でゴロゴロ。大あくびをしたり、寝返りを打ったりといつも通り、のんびりマイペースな姿を見せてくれました。

口の周りをペロペロしていたのは「ジュースのおいしい味がするんでしょうね」と梅元さん。

取材に応じた獣医師の菅野さんは「タンタンの体調は落ち着いています。スタッフみんなで協力してまた一年元気に過ごしてもらいたい」。梅元さんは「応援してくださる皆さんの声に励まされています。メッセージノートの手書きの文字もとても温かく感じています。本当にありがとうございます。これからもタンタンを応援してもらえるとうれしいです」と話していました。 

質問に答えたライブ配信は王子動物園公式チャンネルで見ることができます。

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