無責任な人間のせいで、行き場を失ったり、過酷な生活を強いられるワンコが後を絶ちません。多くの保護団体やボランティアの方が経験しているのが多頭飼育崩壊からの保護です。
多頭飼育崩壊とは、飼い主が避妊や去勢といった適切な処置をせず、野放しに放置されたワンコたちが繁殖を繰り返すというもの。当初のズサンな管理が原因ですが、ワンコが増えたことで、さらに手に負えなくなっている状態のことを指します。
黒白の中に茶色のマロ眉がかわいい
北海道で犬猫の保護・譲渡活動を行う団体・HOKKAIDOしっぽの会(以下、しっぽの会)でも、多頭飼育崩壊の現場から保護するワンコは実に多いと言います。
このしっぽの会に、2022年7月にやってきたポルテというメスのミックス犬も多頭飼育現場出身でした。
ポルテの推定年齢は8〜10歳とシニアの域でしたが、幸い元気いっぱいで性格良好。人見知りもほとんどせず、しっぽの会のスタッフにもすぐに懐いてくれました。黒白の毛の中に茶色いマロ眉がチャーミングでもあり、すぐにしっぽの会の人気者に。
ワンプロ大好き「若いワンコにも負けないわよ!」
ポルテは他のワンコとのコミュニケーション能力も高く、若いワンコに混じって「負けないわよ!」とばかりにワンプロ(ワンコのプロレス)を仕掛けて遊んでいます。
ときには若いワンコにもみくちゃにされてしまうポルテですが、怒るようなことはなく、むしろ「こんなの遊びよ!」とうれしそう。もちろん、他のワンコを本気でいじめるようなこともなく、いたって優しく元気な性格でした。
優しい獣医師家族に迎え入れられることに
ポルテが多頭飼育崩壊の現場からしっぽの会にやってきて約11カ月。ついに「我が家に迎え入れたい」という里親希望者さんが現れました。その方は獣医師とその家族でした。過去にもやむを得ない事情から、行き場を抱えた犬猫を保護し、家族として迎え入れた経験があるとのことでした。
獣医師とその家族がしっぽの会に面会に行った際、他の保護犬たちにも接し、「どの子もみんなかわいい!」「1頭だけなんて選べない」と言っていました。しかし、現実的にはどの子か1頭を選ばないといけないわけで、そこでポルテを選んだそうです。その大きな理由は、獣医師のお子さんにもポルテは積極的に近づいてきてくれ、嫌がることなく体を触らせてくれたからとのこと。
愛きょういっぱいで、人間はもちろん他のワンコにも分け隔てなく接する優しいポルテを、神様が優しい獣医師一家とつないでくれたのかもしれません。
見事を幸せを掴んだポルテですが、迎え入れてくれた獣医師一家からこんな報告がありました。
「とにかくかわいくて、うるうるの目で見られるとたまりません。マロ眉もお耳もかわいい。もうすべてかわいいですね。<中略>お散歩に沢山行ったせいか、夜もケージでぐっすり寝ておりました。何かあったらと、ケージの横で人間も寝ましたが、騒ぐ様子もなくひとまず安心しました」
この報告の通り、今日もポルテは安心できる環境で優しい家族と一緒に幸せに生活していることでしょう。
このポルテのように保護された犬猫たちはみんな、人間に愛され、幸せな犬生を歩む権利があります。他の保護犬、保護猫たちにも、ポルテのような素敵な出会いがあることを願うばかりです。
HOKKAIDOしっぽの会
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