事故物件に住んで突然始まった「寝食べ」 食にまつわる恐い話を追求「偶然や思い込みか…故人の霊の仕業か」

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事故物件を借りて、今や17軒目。少々の恐いことでは、もはや動じなくなったという事故物件住みます芸人の松原タニシさん。常に前向きに恐いことを探しているとあって、不思議なエピソードがつきないタニシさんに取材した。

10年前に初めて住んだ事故物件である家で、自身が夜中にアーモンドチョコを食べていることに気づく…そしてそれは場所が変われば、何を食べているのかも変わるそうだ。そんなタニシさんが、興味を抱いたのは”恐い食べ物”だ。

「『生きること』の怖さを追い求めました」

単なる日常である食も、食べ方によっては死に直結する。

ニンニクなど過剰に摂取してはいけないものや、毎年喉に詰めて命を落とす高齢者が多いにもかかわらず日本人が愛してやまない正月の餅なんて最たる例だ。また、先日果物と野菜ジュースしか食べていなかった人が亡くなったニュースが報じられたが、食とは強烈な嗜好が発揮されるものでもあると同時に、食に全く興味がない人がいるのも事実である。

「若者が巷に溢れる“体に良くない”などのマイナスの情報ばかりを鵜呑みにして不安になり、シリアルしか食べないという話を映像制作会社で働くY君(40代男性)から聞きました。この話には、現代の若者が食への興味を失っているのではないかという不安と、なにかを否定することで利益を得ようとしている誰かがいるという情報操作の怖さがあります。しかしそれと同時に、世代間のコミュニケーションの希薄により、こちらが勝手に若者はこういうものだと決めつけてしまう危うさもあるので、物事を安易に信じてしまうのは怖いなと思いました」とタニシさん。

故人が好きなものをお供えすることで止まった不思議な現象、突然死した人によく残されている食べ物、狂気的な執着から生じたエピソードなど…41篇が収録された書籍『恐い食べ物』を執筆するなかで、改めて食に向き合ったそうだ。

「食べ物は生きるために摂取するものだから、死と対極にあるということに気づきました。ならばその根本を揺るがしてやろうと思って『生きること』の怖さを今回は追究しました。

取材場所は、とにかく予測ができない場所を選びましたね。自分が行ったことのない地域、秋田、屋久島、メキシコなど。そこへ行って何を感じるのか、恐い食べ物とどう結びつくのか、自分でもわからないからこそ行ってみる。事故物件も最初は住んでみたらどうなるのか自分でもわからなかった。わからないから怖かった。わからないことを体験することが恐怖の克服であり、克服して初めて“あ、だから怖かったんだ”が、わかるんじゃないかと思います」

そんなタニシさんだから、ただ怖い話として受け止めるのではなく、調査にも時間を費やした。

「たとえばその地域で避けられている食べ物があるとすれば、その食べ物を避けるようになった始まりはいつなのか、その当時の人たちは何を恐れていたのかを知ることで、怖さの理解ができる気がします。リサーチは納得いくまで、怖いの理由がわかるまでです」。

冒頭で触れた、夜中に食べてしまう「寝食べ」についても、「睡眠呼吸障害クリニック」で診断を受けて、同著で症状を解明しようとしている。

医者に調べてもらった後も「寝食べ」は続いているそうで、「寝食べのせいで太ります。なので食事は減らさないといけません」と、サラリと受け止めているのも、自分ができるところまでは原因を追求しているからなのだろうか。

とはいえ、理由や原因がまったくわからない出来事も多いそうだ。

「世の中にはまだ解明できていない不思議なことがたくさんあると思いますが、それは本当にあるのだと思います。もちろん単なる偶然や思い込みもあるが、それが故人の霊の仕業によるものかもしれないし、現象の因果関係というものははっきりと一つの答えを出すのは難しい。ただ故人が好きだったものをお供えすると不思議な現象が止まったという話に関しては、遺族や友人の“もっとこうしてあげたかった”という故人への思いや後悔が実際に不思議な現象を起こしてしまう『生きてる人間の謎の力』というのもあるんじゃないかなと、最近は思うようになりました」

そんなタニシさんは、食にはさほど興味がないと自身を分析する。ただ、人生最後に食べたいと思うのは、「子供の頃に食べたスクランブルエッグか、日清焼きそばでしょうか。最後に何を食べるかを考えると、何回も好きで食べていたものが思い浮かびます。最後に自分らしさを求めてしまうのは、自分が無くなってしまうということへの抗いなのかもしれません」。

◇ ◇

最近、夏祭りで見知らぬ女児に手を振られ、振り返ると「でも気持ち悪いけどね」「顔がくすんでるよ」と言われたという松原タニシさんは、著書『恐い食べ物』でもエピソードを披露している芸人かみじょうたけしさんと、9月10日(大阪・難波)にトーク&サイン会を開催予定。詳細は松原タニシさんのX(旧Twitter)にて紹介。

■松原タニシ関連情報
X(旧Twitter)●https://twitter.com/tanishisuki
YouTube●https://www.youtube.com/channel/UCF4g842_FK1CQmouMBt4mig

書籍●『恐い食べ物』(2023年6月26日発売・1650円・二見書房刊)
https://www.futami.co.jp/book/index.php?isbn=9784576230801
特設サイト●https://www.futami.co.jp/horror/matsubaratanishi/

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