「やんちゃ」という理由で、キャリーに閉じ込められていたスコフォ いざ引き取ってみると「なんか性格違う?」…判明した“本性”は

古川 諭香 古川 諭香

人の家族の前だと、あざとかわいいぶりっ子。けれど、猫相手には暴君と化す、もなかちゃんは二面性のあるコミカルな性格。

実はもなかちゃん、「やんちゃ」という理由で飼育放棄された子。飼い主さんが妹さんの友人から引き取り、大切に育ててきた。

元飼い主はやんちゃな性格に困り果ててノイローゼに

元の飼い主である妹さんの友人は、ひとり暮らしを機に、もなかちゃんを迎えて念願の猫ライフをスタート。しかし、理想と現実は違い、迎えた子猫は想像していた以上にパワフル。やんちゃな姿に圧倒されてしまった。

「思っていたのと違うと感じてノイローゼ気味になり、ペットキャリーに閉じ込めているという話を妹が聞き、『もういらないと言っているから、引き取ってあげられないか』のと連絡がありました」

当時、飼い主さん宅には高齢のおじいちゃん猫が暮らしていたが、その子猫を放っておくころなどできず、4時間ほどかけて他県にある妹さんの友人宅へ。

引き取り時、もなかちゃんは同行した義両親の膝でスヤスヤ。自宅に着いた後は、先住猫や飼い主さんのお子さんを目にしても動じず、くつろぎ始めた。

「猫たちは互いに威嚇せず、初日から一緒のクッションで寝ていました。持ち前の図太さのおかげで、とても楽に受け入れることができたんです」

やんちゃなことから、「いらない」という悲しい言葉で拒絶されたもなかちゃんだったが、一緒に暮らし始めた飼い主さんが抱いた印象は少し違った。

「これまでに何匹か、やんちゃなオス猫を飼ったことがあったので、むしろ、こんなに人懐こくてマイペースなのに…と驚きました」

その一方、月日が経つ中で判明したのは、もなかちゃんが“隠れ威張りんぼう”であること。人が見ていないところでは先住猫にパンチし、女王様な態度で人家族を翻弄するようになった。

「ただ、運動神経が絶望的だったので、やはり先住の子たちと比べれば大人しいと感じました」

弟や妹ができて貫禄ある長女に成長!

お迎え当初は“妹ポジション”だったもなかちゃんだが、おじいちゃん猫が虹の橋に旅立ち、弟猫や妹猫がやってくると、長女らしい貫禄を身に付けた。

現在、飼い主さん宅にはもなかちゃんを含め、3匹の猫が暮らしており、みな基本的には、つかず離れずの距離感。

ただ、弟猫の黒豆くんは、もなかちゃんのことが大好き。くっつきたい気持ちが募りすぎて、上にのしかかった末、威嚇されることもあるそう。

「2匹は気が向けば、グルーミングし合っています。みんな隣では寝るけれど、猫団子にはならないという距離感です」

マイペースなもなかちゃんは弟や妹ができても、「いつだってワタシが一番」の精神はキープ。あざとかわいいポーズを見せ、飼い主さんを翻弄することも多々ある。

「ご飯のお皿に両方の前足を乗せ、上目遣いで舌をペロペロ出しながらの『餌よこせ』があざとすぎて、すぐご飯を出してしまうチョロ飼い主です(笑)」

人の心を魅了するテクニックを習得しているもなかちゃんは、来客時に人が玄関から入ってくる気配を感じると、足をピンと伸ばしたへそ天でゴロゴロ。新たなファン(下僕?)を獲得しようと、意欲を燃やしてもいる。

ペットキャリー内での狭い生活から一変し、人を翻弄するようになった、もなかちゃん。その姿を見ると、終生飼育の大切さと共に、様々な事情で飼育が困難となった時のSOSの出し方を考えさせられる。

「近ごろは猫ブームや人気YouTubeの猫ライフなどを見て、安易に猫を飼い始める人が増えたように思います。猫は飼うのが楽というイメージが広まっていくのが、怖いです」

そう語る飼い主さんは、飼育が困難になった場合には飼育放棄や遺棄をするのではなく、愛猫が幸せになれる未来を考えて行動してほしいと思っている。

「猫の性格は、十猫十色。もちろん終生飼育が基本ではありますが、飼い続けることが難しいと感じたら無理をせず、悲しい結果にならないような選択をしてほしい。知り合いやボランティア団体を頼ってもいいし、その猫が幸せになれる選択肢が色々あるのだということも周知されてほしいです」

迎えた命にはどんな形であれ、最後まで責任を持ち、小さな生命が悲鳴をあげなくてもいい未来を考えてほしい。

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