病気で体が弱った時、なかなか食が進まないこともあるでしょう。でも、そんな時でも食べられると評判なのがアイスのガリガリ君。1本70円(税抜き)というのも嬉しいところです。そんなガリガリ君に見慣れない仲間が…?
ナースの大森ちゃんさん(@lemoned_nurse)がTwitter(現X)に投稿した画像が話題になっています。
「何…だと…?ガリガリ君に給食用ミニカップ?えっこれ緩和ケア医療者がずっと求めてたやつやん?ガリガリ君でこの量(60ml)で1個食べれた満足感、食べやすさ、介助しやすさ、保存しやすさ…全部完璧なんだけど!知らなかった…これは病院に置きたい。(普通のアイスキャンディーは105ml、ファミリーサイズは63mlだったよ)」
画像を見た人からは、
「在宅でも購入したい!カップよきよき」
「緩和病棟で亡き父が喉の渇きや食欲不振からかき氷を良く食べていたけど、量が多く、また食べては休むため溶けてしまいました。 家族がガリガリ君を削って紙コップに入れて、残りを看護婦さんに預けて、ナースステーションで保管してもらっていました。 手間的にも衛生面でもこれはとても助かりますね!割高でも」
「これあったら入院中絶対に『食べさせてください』って訴えたな。心不全で息苦しくてゼリーすら食べられなかったけど、かき氷みたいなの食べたいってずっと思っていたから」
「終末期にアイスが食べたいって言う患者さん多いですよね。これはいいと思います!」
という熱烈なリプライが次々寄せられ、「いいね」は3.8万件にもなりました。
ナースの大森ちゃんさんにお話を聞きました。
ーーなぜカップ入りだと緩和ケアにいいのですか。
「片手で食べられる方もいますが、身体が弱ってくると食べるスピードがゆっくりになるので、食べている途中で溶けて落ちてしまいます。また、病気で身体が弱ってきますと、棒を持つのも辛く、食べる時に介助が必要です。介助する場合、スプーンで口に入れるので、カップは介助しやすいのです。一口の量も調整できます。今は、棒タイプのガリガリ君を棒から外して細かくしています。細かくしている間に少し溶けるし大きさも不均等になってしまいます。ですが、カップだと冷凍庫から出してすぐに新鮮な(?)シャリシャリのまま食べることができます」
ーー量的にはどうですか。
「身体が弱ってくると、ガリガリ君1本は多くて食べ切れない方が多いのです。だから、少ない量だと1個食べられますし、残したとしてもカップは再冷凍しやすいです。それに、小さいカップだと場所を取らないし、整理整頓しやすいのです」
ーー患者さんにも人気なのですね。
「緩和ケアを受けている方は病気のステージが様々です。抗がん剤治療で食事が進まない方、終末期で身体が弱って食事が進まない方もいます。リプには緩和ケアに限らず、悪阻の時にも良いなどの声もありましたので、緩和ケアに限らず、体調が優れない時にもガリガリ君は食べやすいのでしょう。私もコロナでぐったりしていた時のご飯はガリガリ君でした」
ーーガリガリ君以外にも人気の商品はありますか。
「かき氷も好まれます。アイスクリームは口の中でまったりするので、ガリガリ君やかき氷など、あっさりした氷系の方がいいと言われる方が多いです。もちろん好みはありますが、ガリガリ君やかき氷は口の中で溶けても味わいがあり、さっぱり感もあるので好まれる方が多いのだと思います。ガリガリ君以外ですとサクレや、アイスボックスを1個ゆっくり舐める方もいます。終末期にアイスが食べたいというより、『食べられるもの』として、『アイスや冷たいものなら食べられるかな』と言う方が多いです」
ナースの大森ちゃんさんは、
「ガリガリ君を一口食べた時の、患者さんの『おいしい』の一言と笑顔は、本当にかけがえのない一瞬だなといつも思います。この一瞬一瞬を大切にしたいと思います」
と話していました。
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製造元の赤城乳業に聞いたところ、ガリガリ君カップは2012年頃、新しい販路向けの商品を考えていた時に、「学校の給食としてデザートにアイスが出たら喜ばれるのではないか」と考えて開発したそうです。幼稚園や学校、病院や高齢者施設の給食用に製造されていて、中身はかき氷。味はソーダとぶどうの2種類です。
2019年には日本緩和医療学会から感謝状を授与されたというガリガリ君。カップサイズは残念ながら市販の予定はないそうです。病院では、好きな時に手軽に買えるようになるといいですね。