【漫画】「この仕事向いてないのかな…」から「一番好き」に! 苦手を克服した漫画家の体験エピソードに目からウロコ

竹中  友一(RinToris) 竹中 友一(RinToris)

「苦手を克服した話」

Twitterに公開された漫画が、とても参考になると、多くの人たちから注目を集めました。

その漫画を描いたのは、『うえきの法則』、『タッコク!!!』などのヒット作で知られる漫画家の福地翼さん(@fukuchi_tsubasa)。ご自身の体験談をまとめました。

漫画を描くうえで重要な作業の一つである“ネーム”。ネームとは、実際に原稿を描く前に、別の紙にコマ割りやセリフ、キャラクターの表情などを大まかに描いた、いわば「漫画の設計図」のようなものです。

いまではベテランとして、後輩の漫画家からネームの作り方について相談を受けたりする福地さん。しかし、以前はご自身もこのネームの作業が、「終わりの見えない真っ暗なトンネルのようなもの」に感じ、「一番苦手で嫌いな作業」だったといいます。この仕事向いてないのかな――と思いつめるほどに。

しかし、今はこのネームが何より一番好きな作業になったといいます。それはどうしてなのでしょうか?

その秘訣は、福地さんの物事の捉え方や、発想の転換の仕方にありました。 

「苦手という大きな塊」を「小さな『習慣』のパーツ」に

苦手の克服にあたり、福地さんはそのことに対する考え方を改めることからはじめたといいます。

苦手なことを「一つの大きな塊」ではなく、「小さな『習慣』というパーツの集合体」だと捉えるようにしたのです。

例えば、「普段は作業中にガムを噛んでいるけど、今日は紅茶を飲むことにしてみよう」、「いつもはひとりで作業しているけど、試しにアシスタントさんいる前で描いてみよう」といった風に、作業中の習慣を少しずつ変えていき、うまくいったと感じられたらそれを継続するようにしていきました。

課題についての視点を「作業」から「日々の習慣」に転換し、さらにその課題自体も「目の前に立ちはだかる巨大な塊」ではなく「パーツの集合体」と捉える――そのようにして少しずつクリアしていくことで、いつのまにかそれを「できた時の集合体」に変えることができたのだといいます。作業にかかる時間も大幅に減りました。

何とも目からウロコなお話。苦手なことや嫌いなことであっても、物事の捉え方や発想の転換によって、得意なことや好きなことに変えることもできるのですね。

リプ欄にも、多くの反響がありました。

「為になるお話、ありがとうございます♪(*´ω`*)」
「福地先生はネームがめちゃくちゃ上手いイメージ(コマ割りとかセリフ回しとか)だったから意外…」
「ネームは確かにトンネルです」
「いやこれは、凄い参考になる…苦手なものを分解するというその発想が…」
「面倒臭い作業って全体を意識してるから面倒臭いのであって、次にやることだけを意識して一つ一つやっていけば案外楽なんですよね...」

「できるかも」は「行動」に繋がるし、「行動」は「できた」に繋がる

福地さんに、詳しく話を聞きました。

――この苦手克服の取り組みをするようになったきっかけは?

福地さん:きっかけは漫画にも描いた「ガムを噛むのをやめて紅茶にした」ことです。ちょっとした変化だったんですが、それでネームがはかどった実感があったので、以降はずっと紅茶を飲むようにしました。で、もしかしたら他の習慣ももう少し改善できるんじゃないかなと思い、やり始めました。

――取り組みをはじめたのはいつごろから?また、克服できたと実感できたのは?

福地さん:この仕事を始めた頃は眠気覚ましでよくガムを噛んでたんですが、3作目の『タッコク!!!』という連載が月刊だったこともあり、そこまでスケジュールがカツカツじゃなくなってガム生活をやめました。

それから他の習慣も見直し始めて、ネームがあんまり苦じゃなく感じ始めたのは5作目の『サイケまたしても』あたりからだったと思います。

――「ネームの苦手意識を『習慣』で細分化することで好きにできた」ということですが、そうすることで具体的にどのような変化や効果があったとお考えですか?

福地さん:いきなり苦手を得意にすることは難しいのかなと思ってます。誰しも得手不得手はあるので。でも習慣を変えることは誰にでもできることなのかなと。「紅茶を飲んでる時、テレビをつけてる時にネームがはかどる気がする」というある種の錯覚を利用することで「できるかも」と脳を騙す効果があるのかなと思います。「できるかも」は「行動」に繋がるし、「行動」は「できた」に繋がるので。その成功体験の積み重ねが「好き」に繋がったんだと思います。

――他に同様の方法で苦手を克服できた経験はありますか?

福地さん:「ネタ出し」ですね。最近友達のススメでインフィニティチェアというものを購入したんですが、お風呂上がりに冷たい水を一杯飲んでそこで横になるようにしたら、漫画のアイデアが出やすくなった気がします。

  ◇  ◇

苦手だったネームも好きになることで味方につけ、精力的に活動されている福地翼さん。現在、サンデーうぇぶりにて、『GOLDEN SPIRAL』が連載中で、単行本も5巻まで発売されています(2023年6月現在)。

同作は『次にくるマンガ大賞2023』のWEBマンガ部門にもノミネートされており、「よかったら応援投票よろしくお願いします!」とのことでした。投票は7月10日11時まで。

■福地翼さんのTwitterはこちら
 →https://twitter.com/fukuchi_tsubasa

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