新幹線で「ポール・スミスさんですか?」→3カ月後にロンドンで再会 憧れの人のオフィスでお茶「奇跡の続き」にネット歓喜

山脇 未菜美 山脇 未菜美

新幹線の中で、有名ブランド「Paul Smith」のデザイナー、ポール・スミスさん(76)に遭遇して声を掛けると…。3か月後、ロンドンのオフィスに招かれ、一緒にお茶をすることになった―。日本人男性が体験した奇跡のような実話が、SNSを沸かせている。ポールさん自ら、仕事やオフィスを紹介してくれたといい、男性は「ただの一般人をもてなしてくれて、人生で特別な1日になりました。人としても素晴らしく、世界的なアーティストになられる理由を身に染みて感じました」と語る。

大阪出身の漫画家・福田雄一さん(44)。現在はポルトガルで仕事をしながら、友人とともにツイッター「工務店の日報(@KOBA_co_osaka)」を運営。大阪の工務店の日常を4コマ漫画で投稿し、それらをまとめた本も出版している。

サイン入りメッセージ「僕らは友達」

ポールさんと出会ったのは、今年3月末。福田さんが4年ぶりに帰国し時だ。東京・品川駅から大阪への新幹線を待っていると、ポールさんらしき人が立っていた。若い頃からの憧れのブランドのため、顔は何となく知っていた―。「ポールさんですか?」。英語で声を掛けると、「そうだよ、旅行かい?」と会話を続けてくれた。仕事だと伝え、震える手で自身の漫画を見せると「きれいなイラスト。書店に行ったら買えるの?」とポールさん。福田さんがプレゼントで本を差し出すと、「ありがとう」と何度も感謝された。その日、サイン入りメッセージと、事務所の住所が書かれた紙を渡され、言われた。「僕らは友達だからロンドン来たら事務所においで」

2日後、ポールさんの秘書からメールがあり、写真10枚が添付されていた。中には、福田さんがプレゼントした本や絵を、アトリエに大事に飾っている写真も。とんとん拍子で話は進み、「ポールがお茶を一緒にしたいと言っています。スケジュールはありますか?」と秘書。6月16日午後3時15分、ロンドン・コヴェントガーデンにある事務所で会うことになった。

どうして一般人をおもてなし!?

4階建てのビル。福田さんと妻が受付で待っていると、ポールさんは通り過ぎるふりをして、「おー!いたの!?」とお茶目に登場。服をデザインする部屋、店舗設計の部屋、皮を整理する部屋…。屋上から地下まで自ら紹介し、屋上では、「Welcome to London!(ようこそロンドンへ)」とハイテンションで一緒に写真をぱしゃり。

書斎にも案内された。物がたくさんある理由を「毎日、世界中からたくさんプレゼントが届くんだ」とポール。ブランドシンボルのうさぎ、魚、アンパンマンのマスコット、サイクリングジャージ…といろんなものが区画にぎゅうぎゅうに並べられていた。

一緒に紅茶も飲んだ。ポールさんは、進行形の企画やパリのファッションショーについて熱弁。日本の銀座店の内装に使うタイルを手に取り、「青色に見えるけど、角度を買えると緑色に見えるんだ」などと目を輝かせて話してくれたという。「ビル全体がミュージアムみたい。服だけでなく、店舗の素材まで全て把握していることにも感動しました。社内のどこを歩いてもいい雰囲気で、スタッフ全員の名前も憶えている。有名になられる理由が分かりました」と福田さんは話す。

でもどうして、世界的なデザイナーが一般人をもてなしてくれたのだろう…? 福田さんは推測する。「ポール・スミスの理念に『インスピレーションの源はどこにでもある』というのがあるんです。何でも面白さを見出して形にするという意味で、ポールさんは素でやられている感じがしました。だから僕にも興味を持ってくれたのかな。さすがに、君たち夫妻のほかに、こんなお客さんも来たんだよって、マクロン夫妻やダライ・ラマの写真を見せてくれたのは、驚きましたが(笑)」

一連の出来事は、ツイッターのほか、ブログでも紹介している。

 https://bokuranonippo.blog.jp/archives/cat_381644.htm

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