「郵便局の赤い車、色あせ過ぎでは?」ネットに広がる疑問の声、プロに聞いた

金井 かおる 金井 かおる

 街なかで見かける日本郵便の赤い軽ワンボックスカー。ボディの赤色が色あせていると感じたことはありませんか。SNS上で調べてみると「郵便局の赤い車は褪色し過ぎでは?」「郵便の集配車、色あせすぎ」「なんであんなにまだらなんだろう」など、似たような疑問を持つ人が多数いることが分かりました。なぜ色あせていることが多いのか。プロに聞きました。

商用車ならではの理由…風雨や黄砂なども

 カー用品製造会社「ソフト99コーポレーション」(本社、大阪市中央区)に話を聞きました。

──赤い車は色あせやすいのでしょうか。

 「赤色の塗膜に限らずですが、塗膜が色あせる、劣化する要因としては、太陽光における顔料と樹脂の劣化が主な原因と考えられます。着色顔料自体が光エネルギーを受けて分解し、化学構造が別の構造に変わることで、変色を起こします。また塗膜の主成分である樹脂が分解されて、粉を吹いたような状態(チョーキング)も、色あせにつながります」

──赤以外に、色あせしやすい色は。

 「赤以外では、青や黄、白色など、着色塗膜の上にクリアー塗膜のない、ソリッドカラー(編集部注:メタリックやパールなどの光って見える粒子が含まれていない、 原色だけの組み合わせで作られている色)に多く見られます」

──自家用車でも色あせする?

 「最近では、ソリッドカラーでも自家用車などでは、着色塗装の上にクリアー塗装を行った塗装が採用されるようになっており、より色あせはしにくくなっています。クリアー塗膜には紫外線吸収剤や光安定剤などが配合されており、光の影響を下の着色塗膜に及ぼしにくく保護するように設計されています」

──SNSでは以前から、「郵便局の赤い車は色あせすぎ」「褪色し過ぎでは?」などの声が多数投稿されています。

 「商用車などの塗膜ではクリアー塗膜がなく、色だけの塗膜があるようです。特に赤などの隠蔽の低い色の塗料では隠蔽性を向上させるため、白色顔料の酸化チタンが入っています。塗膜の主成分である樹脂に顔料を配合すると、酸化チタンなどでは光のエネルギーを受けて活性な状態になり、樹脂や顔料の分解が促進され、そのことで変色(色あせ)が起こりやすくなっているものと考えられます。そのため、SNS上などで『郵便局の赤い車は褪色し過ぎでは?』という投稿が多数見受けられるのかもしれません」

──他に考えられる原因は。

 「車両の保管状況やメンテナンスなどの条件によっても変わりますが、風雨、酸性雨、黄砂などのチリやホコリ、走行時の泥などの擦れによるキズも劣化原因と考えられます」

自家用車、おすすめのケア方法

 もし自家用車が色あせしたら、市販商品でケアすることは可能なのでしょうか。ソフト99コーポレーションの担当者は「カラーを復活させることができる商品」として2つを紹介してくれました。

 「まず1つ目は、超微粒子の顔料を含んだカラーワックス『カラーエボリューション』です。専用の付属スポンジに液を付けて、ワックスがけと同じようにパーツごとに塗り広げて、表面が乾燥したら拭き取り作業を行っていただくだけで、カラーが復活し、約1カ月持続します」

 「2つ目は『99工房モドシ隊 カラーフィニッシュ』です。こちらは超微粒子研磨材が含まれていることにより、くすみの原因となる無数の細かく浅いキズを研磨しながら、超微粒子顔料をキズ部分に充填することにより、新車の時のような、より美しく光沢感のあるカラーが復活し、約3カ月効果が持続します」

 各商品とも赤、黒、白、青、シルバーがあり。カー用品店やオンラインショップなどで販売中。「愛車のボディの色あせが気になる方にはぜひお試しいただければと思います」(同社担当者)

     ◇

 日本郵便は2019年、東京都を中心に、集配時に使用する軽四輪自動車1200台をガソリン車から電気自動車(三菱自動車工業製のミニキャブ・ミーブバン)に切り替えると発表しました。導入された車両は、公式キャラクターぽすくまの愛らしい姿が印象的なデザイン。従来の車とはボディの光沢も違っています。

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