多頭飼育崩壊から救出された保護犬 エコー検査で妊娠が判明 生まれた2頭はともに幸せをつかんだよ

松田 義人 松田 義人

2022年7月、北海道で多頭飼育崩壊がおきました。この現場からは多くのワンコが保護されましたが、そのうちの一頭がジュリアというメス。保護後、エコー検査をしてみると妊娠していることが発覚。劣悪な環境の中で、お腹の中に小さな赤ちゃんを抱え、ジッと耐えていたのです。

ジュリアを保護し、引き取ることにしたのが北海道を拠点に動物の保護活動を行う、認定特定非営利活動法人HOKKAIDOしっぽの会(以下、しっぽの会)。行き場を失ったワンコや、殺処分対象となったワンコを引き取り、新しい飼い主へと譲渡する活動を行う団体です。

保護された母犬が産んだ2頭

しっぽの会のスタッフはジュリアが健康のまま、無事にお腹の中にいる赤ちゃんワンコを産めるよう懸命に世話をしました。保護から約2カ月後、ジュリアは無事2頭を産むことができました。1頭がメスのオリビア。もう1頭がオスのオリバー。オリバーのほうがオリビアより先に生まれたことからお兄ちゃんということになります。

出産を終えたジュリアも健康体で、以降、オリビアとオリバーを大切に子育てしました。また、オリビアもオリバーも、スタッフからたくさんの愛情と食事を与えられ、スクスクと育ち、生後約2カ月を経過した頃には体重が約5キロを超えるほど大きくなりました。

生後5カ月で一気に大きくなったオリバー

特にオリバーは、生後5カ月になるとさらに成長し、走るたびにドスドスと威勢のいい音を響かさせるほどの大型犬へと成長しました。人見知りすることもなく、初対面の人でも思いっきり尻尾を振って体当たり。全力で甘えて喜ぶ姿を見せてくれます。

また、日々スタッフが行うトレーニングでもオリバーは飲み込みが早く、人の言うことをしっかり理解しようとする賢い一面も持ち合わせていました。子犬だった頃は、向こう見ずに人に飛びつくオリバーでしたが、こういったトレーニングを経て、「やって良いこと」「悪いこと」の分別がつくようになりました。もちろん、クレートトレーニングやケージトレーニングにも一生懸命取り組み、早い段階で習得。オリバーの成長速度には目を見張るものがありました。

生後6カ月を過ぎると、落ち着きも見せるようになったオリバーですが、変わらないのは「大の人間好き」。どんな人にも興味を示し、そして積極的に触れ合おうとするかわいいワンコです。

優しい里親さんの元で幸せに

これだけ元気で優秀、そして人間大好きのオリバーですので、スタッフは「新しい里親さん探しには、そう時間がかからないだろう」と考えていたと言います。その通り、2023年3月、オリバーの里親募集をSNSなどで告知すると、すぐ里親希望者さんが現れました。里親希望者さんは、募集がかかる以前からしっぽの会のSNSをチェックし、オリバーのことが気になり、「ずっと前からオリバーを迎え入れたいと思っていた」と言います。

この間、妹のオリビアが新しい里親さんの元へと巣立っていったほか、別のワンコも続々と新しい家族に迎え入れられていきましたが、その様子を横目に見ていたオリバーにもやっと春が訪れたというわけです。

里親希望者さんはオリバーを最優先に生活を整え、迎え入れてくれることになりました。ジュリアというお母さんワンコと離れての暮らしはちょっと寂しそうにも映りましたが、これからは優しい里親さんとの暮らしで、これまで以上の幸せを掴むことになります。オリバーはしっぽの会で過ごしていた「人間大好き」な性格をそのままに、今日も元気に幸せな犬生をおくっています。

認定特定非営利活動法人HOKKAIDOしっぽの会
https://shippo.or.jp/

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