置き去り、絶対やめて! 小雨のなか道端のフェンスにつながれた秋田犬を保護 「自分に置き換えて考えて」

門倉 早希 門倉 早希

短いリードで道端のフェンスに繋がれた1匹の秋田犬。周囲に人はおらず、どうやら前の飼い主から捨てられてしまった可能性があり、保護した方のツイッター投稿に注目が集まっています。

10月9日、投稿者の名月(@ranranharuru)さんは、住まいのある徳島県内でリードをフェンスに繋がれた秋田犬と出会いました。警察への連絡などを経て、保護することを決めた名月さん。犬はとら丸と名付けられ、名月さんとその家族と一緒に暮らしています。当時のこと、とら丸くんを迎え入れてからの生活について投稿者さんに伺いました。

保護した投稿者に聞いた

「その日は、小雨が降っていて。恵比須洞自体は観光地なので車もよく止まっている所で通行も多いと思います」。

とら丸君が繋がれていたのは、徳島県の恵比須洞のそば。とら丸くんは1匹、その場に取り残されていたといいます。

「朝10時頃は車が停まってましたが、夕方通った時は1台もいなくて。山なので飼い主さんがもし崖から落ちたりしてたらと心配で周りは確認したんですけど何も無く。行くまで遠くで犬の遠吠えがずっと聞こえていたんです。ずっと飼い主を呼んでいたのかと思うと涙が出ます」。

とら丸くんのそばには小さなボウルが転がっており、なかには水、地面にはふやけたドックフードが落ちてました。誰かに発見・保護されるまでのつなぎの食料として、前の飼い主が置いて行ったのでしょうか。

名月さんが近づくと「シッポふって寄って来たので、人懐っこい印象でした。16時頃警察に通報、聞き取りがあり、1時間後に保護に来てくださったそうです」。

「飼い主さんが現れればと思っていたのですが、警察に連絡したところ問い合わせなしで、捨てられたのだろうと。12日の朝には保健所の方が引き取りに来ると聞きましたのでその前に保護する事にしました」。こういったケースの場合、捨てられた動物を「遺失物」として拾得者が届け出、警察が公告したのち、3か月以内に所有者(飼い主)が現れなければ拾得者が所有権を得られるそうです。

困難がありながらも無事一緒に暮らすことに

そうして名月さんに保護されたとら丸くん。家に来た初日は、新しい環境に慣れず夜通し遠吠えをしていたといいます。当時を振り返り、名月さんは「遠吠えにはびっくりしました、よっぽど不安だったのだと思います。横で一緒に寝てあげました」と語ります。

また、大変なことはそれだけではなかったようです。というのも、名月さんの家にはほかの家族や先住犬がおり、いきなり大型犬の家族が増えることについて家族の了承、環境の整備の必要がありました。

「両親祖母、一緒に暮らす家族にも説明して了解してもらわないといけなかったので、悩みましたけど受け入れて貰えて安心しています。(家族がとら丸を)初めて見た時は想像以上に大きかったみたいでびっくりしてましたけど(笑)。とら丸は今の家を気に入ってくれたみたいです」(名月さん)。

その後はとら丸くんの目がほぼ見えていないことも発覚。「警察の方から(目が)見えてないみたいだと聞きました。少し散歩して帰ろうと付近を歩いたんですが、溝や壁にぶつかるので気づきました。具体的な年齢は分からないのですが、おじさんくらいなのかな。秋田犬に稀にある病気で若くして失明しているかもしれません」。

色々な壁がありつつも、名月さんがとら丸くんを保護して1か月ほどが経過。互いに新しい生活にも慣れたようで、名月さんはとら丸くんの近況をツイッターに投稿しながら幸せに暮らしているそうです。

飼い主について名月さんに尋ねると、その後も名乗り出ていないとのこと。名月さんは、「このような状況に自分が遭遇するとは思ってもみなかったですが、SNSでの反響で日々起こっている事なんだと知りました。捨てる側の気持ちは理解出来ませんし許せません。どんな理由があるにしても、置き去り以外の方法をとってほしかったです。自分に、家族に置き換えて考えて欲しいです」と、無責任な飼い主に対し憤ります。

しかし、とら丸くんと出会えた日々はこれまで以上に充実しているとも語ります。「今は毎日の目薬や散歩も2倍になって大変ですが充実しています。とにかくめちゃくちゃかわいいです!!この子達のために健康でいようと思います!」

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