「大丈夫や、助かるからな」目がふさがり、骨と皮だけでやせ細った子猫 「いつ死んでもおかしくない」瀕死の状態で保護 走り回るやんちゃ者に

渡辺 陽 渡辺 陽

金太郎くんは、2011年6月に保護された。

大阪府に住むOさんはある朝、出勤途中の夫からメールを受け取った。

「子猫が駐車場にポツンとおって遠くに母猫らしい猫がおるねん。母猫の声のする方に行きたくても目が目ヤニでふさがっていて、行きたいけど行けんみたい」と書いてあった。添付された写真を見たら、目は目ヤニで塞がり、耳の中は真っ黒け。食べていないからなのか骨と皮だけの茶白猫がいた。

「お湯で洗ってあげる?」と返信したら、「お湯で身体を洗ろてドライヤーで乾かしたけど、目ぇ閉じるねん。目から涙出てるけど痛くないんかな?猫も人間の涙のように、こんなにあふれるんやな、すごい痛そうや」と返信が来た。

Oさんの夫は、少し離れて見守っている母猫に、「大丈夫や、助かるからな」と声をかけた。その日、Oさんの弟が夫の職場まで行き、金太郎くんを動物病院に連れて行ってくれた。

2、3日が山場や

獣医さんからは、「なんで洗ろたんや!洗ろたら体温下がるし洗ろたらあかんねんと。うちがあったかいお湯で洗ってあげ言うたから、弟は怒られたみたいです。うちも猛反省しました」

獣医さんは、「生後2ヶ月弱かな。体重700gくらいあればええけど、現状体重400gしかなくて、こんなに弱っていて。腹水溜まってクラミジアで目が塞がってる状態やし、お腹に虫もいるし、身体にも虫がぎょーさんおる。下痢もひどい。できる限りのことはするけど、ここ2、3日が山場やと思うてほしい」と言った。金太郎くんは入院し、Oさんは仕事帰りに様子を見に行った。その後、2週間弱の入院を経て元気に退院したという。

退院する時、獣医さんは、「保護せず、あの状態やったら、あの日か次の日に亡くなっててもおかしくなかった。ここまで元気になって良かったなー。この子は生命力あるんやなー」と言った。

強く元気な子になって

名前は、金太郎のように強く元気にと願って、金太郎くんと名付けた。「こんなに可愛い顔になるなんてー」と言うと、夫はドヤ顔で「俺は知ってた。額のシマシマとほっぺのシマシマがかっこよくなるて!」と自慢げに言った。

「退院した金ちゃんは目ぇー見えて嬉しいからか、子猫はよう寝るでと言われたけど、全く寝ることもなく走り回りました」


金太郎くんは、先住猫のちゃたろうくんやこたろうくんを追いかけた。怒られても怒られてもくっついた。夫妻は里親希望者がいたら譲渡しようと思っていたが、ちゃたくんとこたくんが受け入れてくれたので、金太郎くんも迎えることにしたという。

2023年5月5日に12歳になる金太郎くん。だいぶ落ち着いてきた。寝る時はヘソ天で寝ている。ちゃたろうくんが2015年虹の橋を渡り、こたろうくんは2021年虹の橋を渡った。金太郎くんは、こたろうくんが亡くなった当初はずっと鳴き続けて探していた。現在は、少し落ち着いているという。

ボールが大好きで、2012年3月31日には、「どようびのにゃんこ」に出演もした金太郎くん。今もボールが好きだが、追いかけられないので、Oさんが投げてOさんが取りに行っている。夫妻は、そんな金太郎くんをますます愛おしく思っている。

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