毛が絡みまるでモップ 極度におびえた犬が、預かりボランティアの愛情を一身に受け尻尾もピーン!

松田 義人 松田 義人

数多く身寄りのないワンコを、「殺処分」させまいと保護し、幸せな第2の犬生へと繋いできた一般社団法人SORA小さな命を救う会(以下、SORA)。

2017年、同団体が動物愛護センターに別のワンコを引き出しに向かった際、施設内で毛玉だらけでジッと固まる1頭の小さなワンコを見つけました。それがオスのプードルのエルサちゃんでした。

エルサちゃんが固まっている理由が、人を怖がっているからなのか、それとも病気で体を動かせないからなのか、すぐにはわかりませんでした。しかし、スタッフは迷わずこのエルサちゃんも一緒に引き出すことにしました。

幸い健康面では異常なし。固まっていたのは人間不信だった

エルサちゃんを引き出し後、真っ先に獣医師に預けメディカルチェックをしてもらいました。幸い、体はいたって健康でしたので、合わせて去勢手術もお願いしました。同時にエルサちゃんがセンターで固まっていたのは病気のせいではなく、人間を怖がっていたのだと察しました。

その後、スタッフはSORAの専属ボランティアスタッフのお家でしばらくエルサちゃんのお世話をしてもらうことにしました。

保護当初はプードル自慢の毛が絡まり合い、毛玉だらけ。どこが顔で、目がどこにあるのかさえわからないような状態で、まるでモップです。あまりにもかわいそうなので、すぐにシャンプーとトリミングをしてもらうことにしました。

やっとエルサちゃんの目を確認することができましたが、どこか寂しそうな、疲れ果てたような表情を浮かべていました。エルサちゃんがどんな状況からセンターに収容され、小さな体で生き抜いてきたかを想像することはできません。しかし、スタッフは絶対に幸せな犬生へとつないであげなければいけないと、新しい里親さんへの譲渡にかける思いを改めて胸にしました。

ビビって動き回りスタッフの足にリードがグルグル巻きに

トリミングを受けて綺麗になったエルサちゃんは、預かりボランティアさんとの時間を過ごすうちに、少しずつ心を開いてくれるようになりました。ただし、怖がりな性格はなかなか治らず、預かりボランティアさんが「エルちゃーん!」と呼びかけると、慌ててで逃げていくこともありました。

このため、預かりボランティアさんは他のワンコ以上に慎重にエルサちゃんに接し、急な大声などは控えて、エルサちゃんの様子を観察しながら、そのペースを最優先に向き合うよう心がけました。

すると、預かりボランティアさんの家に来てから約1カ月ほど経った頃、エルサちゃんは完全に心を開いてくれ、尻尾もピーンと上を向くようになりました。

散歩中、木の葉っぱが風に揺れる音に驚きグルグル回ってしまい、預かりボランティアさんの足にリードがグルグル絡まる、なんていうこともありましたが、それでもそんなお茶目なエルサちゃんがかわいくて仕方がない預かりボランティアさんでした。

エルサちゃんの全てを受け入れてくれる里親希望者さん

そんな毎日を過ごしていたエルサちゃんでしたが、保護から4カ月ほどが経過したある日のこと、里親希望者さんが現れました。夫婦と息子さんがいる家庭で、ビビリ癖があるエルサちゃんの全てを受け入れてくれると言います。SORAのスタッフはその優しい人柄に心を打たれ、エルサちゃんを譲渡することを決めました。譲渡の際にはとびっきりの笑顔を見せてくれました。

病気の治療をしながら、優しい家族に囲まれて過ごしていたエルサちゃんですが、後に家族に見守られながら虹の橋へと旅立っていきました。しかし、この縁により、その里親さんはSORAで別のワンコを迎え入れることにもなりました。きっとエルサちゃんが繋いでくれた縁だと、SORAのスタッフは思いました。

 一般社団法人SORA小さな命を救う会
https://sora-chiisana.org/

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