湯浅ミミは犬だった-。京都府南丹市内の桂川で拾われ、所有者不明のまま、同市日吉支所が20年近く保管していた「湯浅ミミ」と彫られた墓石の所有者が見つかった。同市日吉町出身の湯浅良信さん(75)=京都市伏見区=が飼っていた愛犬のための墓石で、このほど支所を訪ねて引き取った。湯浅さんは「気が楽になった」と話している。
湯浅さんや支所によると、2004年10月に見つかった墓石は「湯浅ミミ之墓」と刻まれていた。「愛犬ミミ」とすべきところを、業者が誤ったという。同月の台風で流出したが、「愛犬ミミ」と記した墓を既に作っていたため、間違えた墓石の所在については関心が薄れており、そのまま時が過ぎた。
「湯浅ミミ」の墓石を管理する旧日吉町(現在の南丹市)が本来なすべき公告を発見当時に失念していた可能性があるとして、今年2月から公告。京都新聞が報じた3月15日に人づてで記事を知り、引き取った。
ミミは雌のヨークシャテリアで1989年ごろに生まれたてを知人からもらった。湯浅さんは「家族の一員で、自分が家の大将のように思っていた」と愛犬の在りし日を振り返る。がんによる手術を重ねながら生き、2001年に亡くなった時は僧侶を呼んで供養するほど、妻(故人)と愛情を注いだ。
「愛犬ミミ」と刻んだ墓は墓じまいし、ミミは今、宇治市の霊園で永代供養している。今回引き取った墓石は性根入れをしていないため、石材業者に引き渡し適切に対応してもらうという。
湯浅さんは「記事を見てびっくりした。市には長く保管してもらい、迷惑をかけたが、引き取ってきちんとできて気が楽になった。墓石を桂川で見つけてくださった方に心からお礼を伝えたい」と感謝していた。