春の高校野球が終わり、阪神タイガースが本拠地・阪神甲子園球場にて試合を行う時期になりました。甲子園球場の最寄駅は阪神甲子園駅のため、阪急・JRの駅では「甲子園球場へは阪神で」という内容のポスターを見かけます。それでは本当に阪急・JRの駅から甲子園球場にはアクセスできないのでしょうか。
阪急は難しい、JRは可能
先に結論を書くと阪急神戸本線の駅からダイレクトに甲子園球場に行くのは難しいですが、JRは可能です。
まずは阪急から。甲子園球場と同じく西宮市にある主要駅が西宮北口駅です。甲子園球場から直線距離にして約3キロですが、西宮北口駅から阪神甲子園駅へ向かうバスはありません。
そのため、西宮北口駅から今津駅まで阪急線に乗り、今津駅で阪神線に乗り換え、甲子園球場に向かうことになります。阪神甲子園駅までの所要時間は約20分です。
ちなみに、西宮北口駅の南にある商業施設「阪急西宮ガーデンズ」には阪急西宮スタジアムがありました。現在のオリックスバファローズの前身にあたる阪急ブレーブスの本拠地でしたが、阪神タイガースも公式戦を行っていました。甲子園球場から3キロしか離れていないにも関わらず、まったく雰囲気に異なる球場だったそうですよ。
あと、西宮北口駅の東隣にある武庫之荘駅から阪神甲子園駅方面行きのバスは一応あります。ただし、阪神甲子園駅まで約30分を要し、本数もあまりないためおすすめはしません。
次にJRです。JR神戸線(東海道本線)には甲子園口駅があります。「『甲子園』とあるが、甲子園口駅から甲子園球場は遠い」というのは関西では鉄板ネタですが、救済策はあるのでしょうか。
実は甲子園口駅の南口から阪神甲子園駅へ向かう阪神バスが運行されています。昼間時間帯の本数は1時間あたり5本。甲子園口駅から約15分で甲子園球場に着くので、間違えてJRに乗っても何とかなります!
積極的に野球関連の臨時列車を運行していたJR
そんな甲子園球場から微妙に離れている甲子園口駅ですが、かつてJRでは高校野球開催時に地方から関西方面へ多くの臨時列車を運行していました。
高校野球関連の臨時列車の中で、今でも鉄道ファンの間で語り継がれている「迷列車」が「ナインドリーム甲子園」です。この列車は1991年夏から1993年にかけて春・夏の時期に運行されていました。
運行区間は新大阪駅から甲子園口駅までのわずか16.7キロ。しかも夜行列車という扱いでした。
ダイヤは新大阪駅発22時10分、甲子園口駅には翌朝6時45分着でした。実は大阪駅で一夜を過ごした後に甲子園口駅へ向かうという珍ダイヤだったのです。大阪駅では23時59分までに乗り込めばOKでした。
甲子園口駅には6時45分に着きましたが、8時30分まで乗車可能でした。まさしく「動く短距離ホテル」という列車だったのです。
使われた車両は国鉄時代に製造された寝台電車583系7両編成。うち1両は女性専用車両でした。
気になる料金は「ナインドリーム甲子園きっぷ」が大人3500円。カプセルホテル並みの料金で寝台列車に乗車できる、何ともおトクな夜行列車だったわけです。
「ナインドリーム甲子園」の運行が終了して30年が経過しました。当時はJR発足直後ということもあり、様々な試みがなされた時期でした。
また地方からの応援客輸送はバスに取って代わりました。JRが甲子園輸送の主役になることはなさそうです。