五月病になったことがあると自覚する人は5割以上―。そんな調査結果が全国の20~50代の会社員・公務員・経営者・役員の男女1276人を対象に、ソフトバンク株式会社の子会社である「ヘルスケアテクノロジーズ株式会社」(東京都港区)が実施した「五月病に関する意識調査」で分かりました。また、五月病になったことがある人のうち、五月病が原因で休職に至った人は約3割に上り、20代では4割近いことも分かったそうです。
調査は、2023年3月にインターネットで実施されました。
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「五月病」とは、新入社員や異動した社員など、大きな環境の変化を迎えた人が、ゴールデンウィーク明けに「気分の落ち込み」や「意欲の低下」などにより仕事に影響が出るような状態をいいます。なお、「五月病」は正式な医学的な病名ではなく、医療機関では「適応障がい」「抑うつ状態」という診断名がされることがあるといいます。
調査の結果、「五月病になったことがある」(確かにある22.8%・あると思う32.8%)と答えた人は55.6%と、半数以上の人が五月病を自覚していることが分かりました。
また、「五月病は深刻な病気だと思う」(とてもそう思う14.2%・ややそう思う46.9%)と答えた人は61.1%となり、五月病の自覚の有無にかかわらず、6割以上の人が五月病は深刻だと考えていることも分かりました。
「五月病になったことがある」と答えた人に対し、「五月病からの回復に時間を要しましたか」と聞いたところ、60.9%の人が「時間を要した」(とてもそう思う17.7%・ややそう思う43.2%)と回答。さらに、「回復に要した時間」については、「1週間程度」(26.3%)、「2~3週間程度」(22.1%)など、1カ月以内に回復する人が多かったものの、2カ月以上かかったという人も17.8%いました。
続いて、「五月病になったことが原因で、仕事を休んだことはありますか」と聞いたところ、46.8%の人が「ある」(何度かある19.8%・一度だけある27.0%)と回答。さらに、「休職したことがある」(何度かある13.1%・一度だけある18.3%)と答えた人は31.4%となり、五月病が及ぼす影響の大きさを裏付ける結果となりました。
また、20代では「仕事を休んだことがある」と答えた人は54.3%、「休職に至ったことがある」と答えた人が39.5%と、他の年代より高い傾向がみられたことから、環境の変化が大きく、プレッシャーも感じやすい若手社員は、五月病の影響をより重く受けやすいことがうかがえました。
「五月病でつらかったこと」を教えてもらったところ、1位「治し方が分からない」(43.5%)、2位「相談できる人がいない」(35.4%)、3位「仕事で迷惑を掛ける」(32.2%)といった回答が上位に挙げられました。
一方、「周囲の人が五月病になったときに感じたこと」については、「心配だがとりあえず様子を見ようと思った」(56.3%)が最も多く、その理由として、「どう対処したら良いのか分からない」(30代男性)、「声かけをしすぎても本人が悩むかもしれないから」(50代女性)といったコメントが寄せられ、周囲の人が五月病当事者に率先して手を差し伸べづらい状況もうかがえます。
次に、「五月病になった際にとったアクション」を教えてもらったところ、「インターネットで症状を検索」(39.4%)が最多となったものの、「インターネットで得られた情報を実践した」と答えた人は53.5%と半数程度に留まり、34.0%の人は「実践したいと思ったが、できなかった」と回答しています。
また、「あなたが所属する会社や組織は、従業員の五月病への対策を実施していますか」と聞いたところ、「実施している」と答えた人はわずか22.1%。その一方で、64.8%の人が「会社で五月病対策を実施するべきだと思う」と回答しました。
最後に、「五月病について専門家に相談ができる場合、どのような形が最も望ましいですか」と聞いたところ、「スマホを使ったチャットで手軽に相談し、アドバイスをもらいたい」(31.8%)、「病院などで対面診療で診察をしてもらいたい」(28.4%)、「オンライン診療で診察をしてもらいたい」(20.4%)などが上位に挙げられました。
また、20代では、「チャットでの相談」(40.5%)を希望する人が他の世代より多くなっていることから、こうした環境を整えておくことが新入社員や若手社員の五月病対策に有効である可能性がうかがえました。
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調査を実施した同社は「企業の取り組みとしては、メンタルヘルスマネジメント、職場環境の改善等がありますが、ぜひ取り組んでいただきたいのが、セルフケアのサポートです。五月病のサインかもしれない、ちょっとした体調不良やメンタルの不調を相談できるサポート体制を構築しておきましょう」とアドバイスしています。
さらに、「社内カウンセラーや産業医など、社内に相談窓口を設置・周知するという方法もありますが、福利厚生の一貫として、社内の人に知られずに利用できるオンライン相談ができる外部サービスであれば、対面での相談を苦手とする社員でも利用しやすいかもしれません」とも述べています。
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【出典】
▽ヘルスケアテクノロジーズ調べ