「みなさん鼻血にどう対処するか、ご存知ですか?」…と正しい鼻血の対処方法がSNSで話題に。これまで間違えていたという人が多く、正しい鼻血の止め方があまり知られていないという実態がうかがえました。
投稿したのは、耳、鼻、のど、頭頸部(脳、脊髄、眼球を除く顔から首まで)の医療・福祉の専門家らによる「日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会」。鼻血の正しい止め方を、文章や図・写真、動画などで解説。同学会に話を聞きました。
鼻血が出た時は、座って下を向き、小鼻(鼻翼)を5分から10分、はさみ込むように押さえる。のどに流れてくる血は、口を開けて血を洗面器などに吐き出す。座れない場合は横になり、血を飲み込まないようにするのが良いとのことです。
「鼻血は鼻の入り口から出ることが多い」ので、押さえるのは「鼻の上の硬い部分(鼻骨)を押さえて上を向く」ではなく小鼻とのこと。上を向くと血液が喉に流れ込み、飲み込んでしまうと吐き気や窒息のリスクがあるそうです。ほか、ティッシュを詰めるのも「硬いため、傷が擦れて大きくなる」という理由で良くないのだといいます。
「花粉症の症状が酷く、鼻をよくかむせいか鼻血もよく出ているので、とても参考になりました」と感謝する人や、「いつも上向かされてたw」「私息子にティッシュ詰め込んでた 改善と共有」「目と目の間だと思ってて、息子に鼻血が出た時、30分以上止まらなくて、夜間休日あいてるところに電話を掛けて、押さえるところが違うことをとても優しく指摘してもらい、あっという間に止まった。大人が1人だとますます焦るのよ」と、誤りに気づいた人々が続出したのです。
医療従事者から「間違った方法で止血しようとしている一般の方、多いです。受付時に正しく指導するだけで、診察開始時には止血している方がほとんどです」「まさにこれ、救急車で搬送されてきた鼻出血患者さんに指導したところでした」と、間違った対処法で受診する人もいるとのコメントもありました。
間違った方法が一般化、危機感を覚え注意喚起
では、間違った方法だとどのような影響があるのか、今回の投稿について日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会にたずねました。
――今回、注意喚起されたのは?
「間違った方法が一般化しているためです。また、当学会のツイッターアカウントはフォロワー数も非常に多く、啓発に役立つと考えました」
――間違った鼻血の止め方をしてしまうと、どうなるのでしょうか?
「気分が悪くなったり、鼻血が止まらなくなってしまう人もたくさんいらっしゃいます。血を飲み込むと吐き気が出たり、喉に詰まると窒息したりするリスクがあります。回答医師の個人的な考えでは、鼻血が止まらないという理由で救急外来などを受診する患者の半数以上は、正しい止め方をすることで受診せずに止血できるのではないかと思っています。
止まらない場合や繰り返す場合は、①鼻の奥の方で出血している②鼻の中にデキモノ(腫瘍)がある③出血しやい基礎疾患などの可能性があるので受診が必要です。
――上を向かない、ティッシュを詰めないなど正しい鼻血の止め方は、どの程度知られていると思われますか。
「十分に浸透していないと思います。なぜ間違った方法が一般化してしまったのか、その原因はわかりません。我々が正しい情報の啓発に少しでも役に立てばと思います」
――鼻血の止め方として、「首や背中の後ろを叩く」「冷やす」などの方法を聞くこともありますが、それで止めることはできるのでしょうか。
「できません。これらの方法はよく言われるものかと思いますが、医学的根拠はないと思います」
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多くの俗説がある「鼻血の止め方」。真に受けてしまった人の中には、本来必要なかったはずなのに受診せざるを得ない人も少なくないようです。花粉や黄砂の季節は鼻をかむ機会が増え、粘膜が傷つき鼻血が出ることも。この機会に、正しい鼻血の止め方を知っておきましょう。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は鼻血が出た時の対処法をはじめ、難聴やめまい、花粉症、補聴器を装着するタイミングなど、耳、鼻、のど、頭頚部などについての情報を、ツイッターやユーチューブに投稿。また、公式ホームページでも鼻出血やその他の耳鼻咽喉科疾患についてわかりやすく解説しています。間違った情報に惑わされないためにも、視聴や登録(フォロー)をしてみてはいかがでしょうか。
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