増えてます「黒い吉野家」 看板の色が変わって、店内もおしゃれに進化「まるでカフェみたい」「とても牛丼屋には見えない」

山陰中央新報社 山陰中央新報社

 大手牛丼チェーン「吉野家」の9号線松江店(松江市西津田2丁目)が改装オープンし、おなじみの看板がこれまでのオレンジ色から黒色に変わった。外観だけでなく、内装はカフェスタイルに一新したという。「牛丼屋なのにカフェ?」。どんな店なのか気になり、店を直接訪ねた。

 店舗は松江だんだん道路の津田インターチェンジから、国道9号沿いに西へ約1キロほどの所にある。「吉野家」のシンボル、オレンジ色の背景に緑色で吉野家と描かれた看板が、黒地にオレンジ色の文字へと変わっていた。看板以外は特に変わっていないように見えた。

テーブル席が大幅増加、席には充電コンセントまで

 店の中に入って驚いた。内装は白色を基調に、一部レンガ調の壁紙があり、机は温かみを感じる木製。従来はカウンター席が多かったが、改装後は5席のみで、大部分がテーブル席になった。各席にはスマートフォンやパソコン充電用のコンセントもある。椅子の模様はおしゃれなギンガムチェックだ。

 ドリンクバーまで設置され、カルピスやメロンソーダといったソフトドリンク5種に加え、コーヒーやココアも楽しめる。設備や内装だけを見ると、とても牛丼屋には見えない。カフェやファミリーレストランのような雰囲気に生まれ変わっていた。

 注文方法も変わった。これまでは利用客が入店し席に着いてから店員に商品を注文する流れだったが、改装後は入店後にレジで注文してから席に着く。その際、一部の商品ではアラームを一緒に渡され、商品の用意ができるとアラームが鳴り、利用客が受け取り口に取りに行くスタイルになった。ショッピングセンターのフードコートで採用されているシステムだ。

 牛丼屋といえば、会社員が休憩や仕事帰りに訪れ、薄利多売で客の回転の速さでビジネスにしているイメージ。改装後は、これまでのイメージとは正反対で、ゆったりと滞在するための設備が充実したように感じた。

注文形式変更、店員にもメリットが

 吉野家によると、カフェ形式の店は「クッキング&コンフォート」と呼び、全国の店舗を順次、同じ形式に改装している。山陰両県では9号線松江店が初だという。

 客層のメインだった男性だけでなく、若い女性や学生、ファミリーといった幅広い層に訴えかけるため、内装を一新した。注文方法を、客が商品を取りに行く形式に変更したのは、店員が効率良く働けるようにするため。店員の移動時間を短縮することで、より早い商品提供や丁寧なサービスに時間を充てられるようになった。

 新登場以来、人気商品になった唐揚げはフライヤーの設備がある一部店舗のみでの提供だったが、クッキング&コンフォートでは全店にフライヤーを配備する。このため、全ての店舗で唐揚げが注文できるようになるという。このほかアイスも注文でき、牛丼以外のメニューも充実させていく考え。

 福富正人店長(34)は「改装を機に、今まで来ていただいていた以上のお客さまに来ていただければうれしい。今後もうまい、早い、安いを実現していきたい」と意気込んだ。

 黒い看板の吉野家はこれまでの牛丼屋のイメージを一新した、店内にずっと滞在していたくなるような居心地の良い店舗だった。牛丼屋に入るのに抵抗があった人でも入りやすくなっている。これを機に「初吉野家」を体験する人が増えるかもしれない。

 9号線松江店は2月24日に新装開店し、床面積約100平方メートル、座席数は29席。

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