侍Jヌートバー応援歌騒動の舞台裏…「手抜き」と批判殺到→3日で新曲制作、本人も「最高だよ!」と激賞 応援団の思い

小森 有喜 小森 有喜

侍ジャパンのラーズ・ヌートバー外野手(25)が打席に入る際、応援団がトランペットや太鼓で演奏する「汎用応援歌」がファンに好評を博しています。当初、日本野球機構(NPB)のオフィシャルソングなどが曲の候補に挙がっていましたが、SNS上で野球ファンからの猛反対を受け、応援団が方針を変更。急ピッチで新曲を制作しました。普段は福岡ソフトバンクホークスで応援の指揮を執り、侍ジャパン応援団では取りまとめ役を務める吉原秀貴さん(43)=福岡県宇美町=に新曲完成までの舞台裏を聞きました。

選手ごとにメロディーや歌詞が異なり、ファンが口ずさんで応援する個人応援歌。今回選出された選手のうち、ヌートバー選手だけがNPBに所属経験がなく、もともと応援歌がありませんでした。侍ジャパン応援団には12球団の私設応援団から数人ずつが参加しています。仕事や学業をしつつ、趣味として応援活動をしている団員たち。普段演奏しない他球団選手の応援歌も覚えなければいけないなど、時間に余裕がありません。ヌートバー選手の応援歌に関しては、野球ファンならある程度聴きなじみがあり、団員ももともと演奏できる曲として、NPBのオフィシャルソングである「Dream Park~野球場へゆこう~」と「スーパースター」をアレンジしたものが候補に残りました。

 「手抜き」などSNSで批判の嵐…

どちらの曲にするか団員たちで話し合いましたが、議論は平行線。そこで、ファンの反応をうかがおうということになったそうです。2月下旬、宮崎で行われた強化試合の際に候補曲を演奏し、SNSで反応を確認することになりました。どちらかと言えばDream Parkの方が賛成意見が多かったため一度はそちらを採用することになりましたが、それ以上に目立ったのが批判の声。「適当に流用した曲で手抜き」「応援歌っぽくない」「ヌートバーが可哀想」と散々な反応でした。吉原さんも「苦肉の策でやったことではあるんですけれど…。さすがに考え直さなければいけないと思いました」と振り返ります。心ない誹謗中傷もありましたが、日本が一つになるため意見を真摯に受け止めようとしました。

 3日で新曲制作、ヌートバー本人も反応

各球団で応援歌制作を担当している団員が何人かいたため、1曲ずつ制作してもらって団員の投票で決めることにしました。制作にかけられた日数は3日程度。吉原さんも「本当にバタバタだったがよく間に合わせてくれた」と団員たちへの感謝を口にします。結果的に選ばれた曲がこちら。 

♪日の丸を背負い いざ世界へ立ち向かえ 大和魂見せてやれ 戦え侍

日本代表として戦うことの誇りを前面に出した歌詞になっています。ヌートバー選手のような応援歌を持たない選手全員に使える「汎用歌」としていますが、今大会では実質ヌートバー選手だけの応援歌として使われています。曲の間で選手の名前を叫ぶコールの部分は、選手のミドルネームである「タツジ」を採用しました。

3月4日、バンテリンドームナゴヤでの強化試合で新曲を発表。ファンにいち早く覚えてもらうためにと、動画撮影しているファンにSNSで拡散するよう呼び掛けました。すると「めっちゃかっこいい」「名曲爆誕」「応援団の方々、本当にありがとうございます!!」と予想を超える大好評で、吉原さんも胸をなでおろしたそうです。さらにヌートバー選手本人もこれに反応。9日の中国戦後に「タツジ!と聞こえて最高だよ」「応援歌を大声で歌ってくれてとても嬉しい」とコメントしました。

「本人に喜んでもらえて何よりです」と吉原さん。侍ジャパンは16日、準々決勝のイタリア戦に臨みます。吉原さんは「応援歌とコールでヌートバー選手の背中を後押ししたい」と意気込みを語っています。

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