小売店のレジ打ち係、チェッカー。14年近くチェッカーの仕事を続ける「狸谷(たぬきや)」さんが自身の経験をもとに描いた漫画が話題です。「レジ打ちで憂さ晴らし…本当にやめて」というその内容はーー。
制服を着ていなくても「社名が分かる」!?
ある日、スーパーマーケットのレジの列に男性客が現れます。
頭に三角巾を巻き、エプロン姿。飲食店の店員さんが買い出しに来たようです。男性は自分の番がくると、お会計前の商品をカウンターに投げつけ、大声で「領収書」。まわりの買い物客が驚いてフリーズするほどの剣幕でした。支払いの小銭も放り投げ、領収書を乱暴に奪い取って店を後にしました。チェッカー担当者があぜんとして見送った男性の背中には、あるお店のロゴマークがデカデカとプリントされていました。それは国道沿いに巨大な看板広告を出すほどの有名店でした。
漫画は「これも一種のバイトテロなのでは」という投げかけで終わります。
作者の狸谷さんによると、制服や社名入りTシャツ、社員証を身に付けて横柄な態度をとる人は「割といます」。
制服を着用していないから大丈夫、という話でもなさそうです。「スーツで来られたお客様の場合でも、領収書に記入する社名で所属する会社が分かってしまうので、横柄な態度をとられると『そこの施設の利用は控えようかな…』と思います」
口から小銭を出し、渡されたことも
狸谷さんはこれまで、スーパーや100円ショップなどでレジを担当。非常識な客との遭遇はこれまでも山のようにありました。その一例です。
▽実話1:「口から現金」
「口にくわえた紙幣を渡されたり、口から出した小銭を渡されたりしたことがあります」
▽実話2:「店長を呼べ!」
「レジが混んでいると待てないのか直ぐに『何でこんなに混んでいるんだ店長を呼べ!』と怒鳴る方がいました。全てのレジが開いており、それなりに混む時間帯でしたので、店長を呼びつけたところで何も変わりませんでした」
▽実話3:「レジに割り込み問い合わせ」
「レジ経験や金銭授受の経験がある方なら分かるかと思いますが、レジ業務中に一番困るお客様の行動は、他のお客様との会計の最中にグイグイ話しかけてくることです。商品の場所を尋ねたり、値段を聞いてきたり、在庫の有無を確認したり。他のスタッフを手配しても待ちきれないのか、ずっと話し掛けてこられる方も。他のお客様に迷惑がかかってしまうことがあるので控えていただきたい行動です」
他にも、自称芸術家が散々悪態をつき、スタッフらを困らせたこともあったそう。帰り際に「今度、個展があるから来てね!」と宣伝したというから驚きます。
「私自身、気を付けねばと感じました」という狸谷さんの作品は、ツイッター(@akatsuki405)やウェブ版漫画「チェッカー鳥海さん、レジまでお願いします」で読むことができます。