兵庫県の瀬戸内海側を走る私鉄、山陽電鉄(本社、神戸市長田区)が公式ツイッターに投稿した写真が話題です。積雪した線路のすき間から真っ赤な炎が見えます。実はこれ、点火式の「ポイント融雪器」。線路のポイント(進路を変える装置)の雪や凍結を火で温めて溶かす設備で、カンテラとも呼ばれます。仕組みを知らない人は線路の火災だと勘違いしてしまいそうです。
きっかけは1本の問い合わせ
同社が投稿したきっかけは、乗客から寄せられた1本の問い合わせでした。
「1月27日、ポイント融雪器に点火をしたところ『線路付近から火が見えて気になった』旨のご意見がお客さまから寄せられました。融雪器は毎年使用するものではなく、当社沿線でもあまり目にする光景ではありません。前回使用したのは2019年2月です。火事だと思われ消防に通報されることがないよう、広く知っていただくためにツイートしました。冷え込む日でも、当社が列車運行を支えるため行っている取り組みを知っていただきたい気持ちもありました」(同社担当者)
運行中でも点火するのでしょうか。
「列車運行時間帯でも点火することがあります。列車の間合いを見計らって、関係各所と連携し、周囲の安全を確保した上で、係員が手動で点火作業を行います」
同社担当者は「使用する際は消防署に点火していることを連絡しております。火事ではありませんが、ご心配の場合は駅員にお尋ねください」と呼びかけています。
山陽電鉄の投稿は拡散が続き、ユーザーからは「これがカンテラか」「初めて見た」「知らなかった」「見たことないと驚きますね」「意外と知られてないんだな」「今は知らない人も多いんですね」「駅にポスターを掲示したほうがいいのかも」「京都でもよく見る」「勉強になった」「こういう投稿、大事」などの反応が寄せられています。
近隣ではこんなトラブルも
今回の投稿で初めて、カンテラの炎を見た人たちからは「知らないと通報しちゃいそう」「火事かどうか見極めるのが難しい」といった声もありました。
実際に兵庫県内では1月末、こんなトラブルがありました。
JR加古川線の駅付近でカンテラの炎を見た人が火災と勘違いし、自らお茶をかけて消火しようと試み、その姿を見た別の乗客がJR西日本のお客さまセンターに通報。係員による安全確認が完了するまで最大52分の遅れが発生しました。
電気式、温風式…さまざまなタイプ
ポイント融雪器は複数のメーカーが開発しており、今回のような昔ながらの点火式以外に、電気ヒーターで温める電気式、温風や熱風を発生させる温風式、熱風式などがあります。雪の多いJR北海道管内では、雪を溶かすマットヒーターやレールヒーターなども導入し、雪対策を強化しています。