大阪にある画廊「芝田町画廊」(大阪市北区)がツイッターに投稿した、来場者への「お願いと注意事項」が話題になっています。内容は、在廊中の作家の名前を呼び捨てや「ちゃん付け」で呼ばない、長時間に渡り独占して話し込まない、ギャラリー以外で会うことを要求しないーーなど、常識では考えられないことばかり。これらは全て、若手、特に女性作家らが実際に受けた「ギャラリーストーカー」と呼ばれる行為。「少しでも作家さんの安心につながれば」というギャラリー責任者に話を聞きました。
「初対面から距離感が非常に近いのが共通点」
──「お願いと注意事項」を発表するに至った経緯を教えてください。
「以前からホームページには『お客様や出展者を守り、気持ちよくご覧いただくために、暴言、暴力、セクハラ、ストーカー行為とみなされる言動などの迷惑行為があった場合、強制退去命令や警察への通報などを行うことがあります』という文章は掲載しておりましたが、具体的にセクハラやストーカー行為とまではいかなくても、作家が迷惑してる行為があります。今回、具体的な事柄を挙げることによって抑止することと、実際迷惑行為をする方は自覚してないことが多いので、これを見て気付いてもらえたらと思い投稿しました」
──迷惑行為は画廊がオープンした2010年からずっと?
「昔からずっとあったと思います。SNS等で発信や拡散されることで、目立ってきたのだと思います。実際に弊画廊では、それほど実害があったわけではありませんが、作家や他のギャラリーさんなどから、こういう人がいるとか、あの人は注意したほうがいいとかの情報はいろいろともらっていました。コロナ前にレセプションパーティーをやっていた頃に、酔っぱらってセクハラ行為をした客を注意したことが一度だけあります」
──迷惑行為をする人は何人もいるのでしょうか。
「複数います。初対面から距離感が非常に近いのが共通点でしょうか。そして、とにかく作家と知り合いたい、話したいタイプと、若手作家に対してマウントを取り、持論を押し付けてくるタイプとがあります。1人にしつこく迫るストーカーと違って、上記のようなタイプは、男女関係なく…やはり自分より弱いと思われる女性に対してが多いですが、若手作家なら誰でも相手にするのが見受けられます」
──オーナーが考える、本来の画廊、出展者、顧客の関係とは。
「画廊と出展者は五分五分の関係ですが、画廊と客、出展者と客は、あくまで客ですから、それ以上でも以下でもありません。画廊と出展者は、客とは作品を通しての関係であって、単純に作品を楽しむ場を作ること、買うことをサポートすることだと思っています。今後は、画廊が全てのお客様や出展者にとって、安心してアートを楽しめる場になればと思います」
「距離感を間違えるのはダメ」「変なファンどこにでもいるのか」
「お願いと注意事項」の全文は次の通りです。
【お願いと注意事項】
※お客様や出展者を守り、気持ちよくご覧いただくために、「暴言、暴力、セクハラ、ストーカー行為とみなされる言動」などの迷惑行為があった場合、強制退去命令や警察への通報などを行うことがあります。
※以下の行為はお止め下さい。
・家族、友人でもないのに作家を呼び捨て、又はちゃん付けで呼ぶ。(ギャラリーで会ったことあるだけで友人とはいいません)
・長時間作家を独占して話し込む。
・作家のプライベートや連絡先などを聞く。
・作家とギャラリー以外で会うことを要求する。
・SNS等でも作家に対する上記の行為はお止め下さい。(芝田町画廊「お願いと注意事項」より引用)
ツイッターのユーザーからは、「具体的でわかりやすい」「ギャラリーさんがはっきりと言ってくれてありがたい」「対策ありがとうございます」「『ギャラリーで会ったことあるだけで友人とはいいません』の一文に激しく同意」「距離感を間違えるのはダメ」「勝手な勘違いは本当にやめてほしい」「やたらなれなれしい人、どの界隈にもいるんですね」「変なファンはどこにでもいるのか」「ずうずうしさに驚きました」「相手を下に見てるんですよね」などの声が上がっています。