「卒論の辛さに限界を迎えて」誕生した「文字化けキーボード」が話題に 「発想の大勝利」「ちょっと欲しい」

山本 明 山本 明

 「『一発で何かいっぱい書いてたことにできる』キーボード」というつぶやきと共にtwitterに投稿された動画が注目されました。確かにあっという間に多数の文字を打ち込めます…しかしテキストは全て「文字化け」しているのです!

 絶望で気が遠くなりそうなキーボードですが、同時に魔法の呪文が羅列されていくのを見るかのような不思議な高揚感もあり、何度も動画を再生してしまいます。「大学生だった頃、卒論のあまりの辛さに限界を迎えて作った」という「もにゃゐずみ|MONYA」(@Monyaizumi)さんに「文字化けキーボード」誕生の詳しい話をお聞きしました。

 もにゃゐずみさんは、「ぼくがほしいものをつくる」を起点にものづくりをする発明家。これまでも「場に広げれば広げるほど、殺伐とした空気が漂うトランプ」や「貼れば貼るほど破れるテープ」などの斬新な発明品がたびたびSNSで大きな話題を呼んできました。「貼れば貼るほど破れるテープ」の発明については以前、「まいどなニュース」でご紹介させていただいたこともあります。

 今回話題になった動画には「すごい欲しい。」「ちょっと欲しいのなんで」と他に類のないキーボードに心ひかれた人たちや「これは発想の大勝利すぎるwww今度作ってみます」と自らの創作意欲を刺激された人からコメントが届いています。

 投稿への反響に「僕のエゴでみんなが笑ってくれる状況がありがたすぎます」という、もにゃゐずみさんにこのユニークなキーボードを制作した経緯を伺いました。

卒論のことを一時的に忘れてふらふら近所を散歩しているときに思いついた

――どのようなご状況のもと、このキーボードは誕生したのか教えてください。

3年前の大学生の頃はブロックチェーンに関して研究していたのですが、知れば知るほど新しい疑問が生まれ続ける分野で苦しんでいました。そんな最中、卒論のことを一時的に忘れてふらふら近所を散歩しているときに思いつきました。

――なぜ普通のキーボードではなく「文字化けキーボード」を思いついたのでしょう。

「文字化け」って(これはいわゆる言語化しきれない個人的な「好き」ですが…)、実際に存在する漢字や記号でしか構成されていないはずなのに、いつも使っている言語とは程遠い、絶妙な不気味さがすごくいいなって当時思っていて、いつか「文字化けしたなにか」を作ってみたいと思ってました。

そんな時、散歩中に、ふと考えた「キーボードみたいな綺麗に文字が配列されてるものが文字化けしてたら嬉しいな」という取るにたらない妄想と、「文字化けって元の文が何であろうと一見同じにしか見えないな」という気づきがあり、そこから連想ゲーム的に当時の自分の身に降りかかっていた卒論と繋がりました。あとは卒論へのフラストレーションと勢いだけで作ることにしました。

なので今回の「ほしいもの」とは、「文字化けしたなにか」というより脈絡のないものから始まっていて、これが「卒論を解決するもの」となっていきました。

「嫌なこと」を頭の片隅に置いておくと「好きな何か」と奇跡的に接合する瞬間がある

――「なぜ、あまりの卒論の辛さをバネにこういう建設的な発明が思いつくのか、が知りたい!」というリプライもありました。「嫌なこと」に遭遇することは誰にでもあることですが、もにゃゐずみさんはにとってはそういう時こそ「ひらめいた!」となる…のでしょうか?

確かにそういった作品は多いかもしれませんが、結果的なものです。それと、僕はむしろ悲観的な性格だと思います。嫌なことに遭遇したその瞬間は普通に「うわ~イヤだ〜〜」としか思いません。
ただ、そんな嫌だったことをシンプルに「事実」として蓄積して頭の片隅に残しておくというのは無意識的にします。別の好きなことを考えているときにその好きな「何か」と(頭の片隅に残しておいた「嫌な事実」が)奇跡的に接合する瞬間があるという感じです。

 なお「このキーボードに関しては商品化の予定はいまのところありません。まじめに卒論やりましょう」という、もにゃゐずみさんに本年の抱負をお聞きすると以下の答えが返ってきました。

 「今年はソフトウェアにも手を出していきたいと思っています。筆頭として、Chrome拡張機能『ネッコサーフィン』を年内リリースに向け製作中です」(もにゃゐずみさん)。

 「ネッコサーフィン」とは「マウスの移動量に応じてネコが集まってくるChrome拡張機能」だといい、ネコ好きさんにはたまらない画面になりそうです。もにゃゐずみさんは「デモを公開したあたりから、無数のネコと戯れながら生活している気がします。超力作になりそうです。お楽しみに…」と意欲を語っています。

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