「虎の威を借る猫」の絵が話題に 江戸絵画の虎図をモチーフにした作品は愛猫がモデル「古そうなんだけど…ちゃんと今風」

椎名 碧 椎名 碧

「やっぱりこれかな。
『虎の威を借る』和紙/岩絵具/水干絵具/胡粉」

「#今年一番伸びた絵を貼る」というハッシュタグと共にツイートしたのは、かとう ゆず(@YusuKato2)さん。虎が描かれた襖絵の前で、黒猫を威嚇する猫さんの絵が投稿されて、話題となりました。「虎の威を借る」のは本来、狐ですが、猫さんの怒ったお顔が可愛く描かれた素敵な作品に仕上がっています。

「虎の威を借る猫 😼」
「この子なりに知恵を絞った結果なのかな、微笑ましいw」
「可愛さも2倍🥰」
「古そうなんだけど…ちゃんと今風」
「怒っている猫の目がクリクリで可愛い」「黒猫もイカ耳」
という声や、襖の引き手に肉球が描かれていることなど、細部に気づいた人からもコメントが多数寄せられています。投稿した、かとう ゆずさんにお話を聞きました。

ーーこちらの作品を制作しようと思ったきっかけは?

「うちの猫が気弱なもので、初対面の人が来ると私の後ろや大きい物の後ろに隠れて弱腰に威嚇するのですが、その姿を見て『誰かしらの威を借りてるな…』と微笑ましく思っていて、あまりにも可愛いので描きたくなったことがきっかけです」

ーーモチーフにした作品はあるのでしょうか?

「モチーフにした作品は、江戸絵画の虎図です。あの時代は虎を実際に見る機会がないので猫を参考にしていたため、どことなく猫ちゃんを感じさせてそこがたまらなく可愛いので、自分の絵にもオマージュとして取り入れたいと思いました」

ーー猫ちゃんのモデルは?

「模様は違いますが、我が家の猫です。あとは昔、近所のみんなで可愛がっていた子猫たちがいるのですが、その子達が兄弟ゲンカをする様子を思い出しながら構想を練りました」

ーー制作過程において1番ここに気を使ったぞ!というポイントはどのようなポイントでしょうか?

「一番はやはり虎の絵です。リアルな虎ではなく屏風絵らしい虎にしたかったので、猫との描写の違いに少し苦労しました。あとは猫のシャーという顔が怖くなりすぎないように、でも可愛くなりすぎないように、とか毛の逆立ち具合とか…言い出したらキリがないですね」

ーー他の作品で、お気に入りの作品はありますか?

「最新作ですが、こちらの絵はお気に入りです。ストーリーから組み立てていったので表情の描写がうまくいったかなと思うのと、ひとつの画面の上に様々な絵具の質感を出せたかなと思います」

「また、こちらの作品もお気に入りです。バーを取材してからこの絵を構想したのですが、バーっていろんな出会いがあって、マスターはその様子を静かに見守って見送っていくんだなぁ…と感じたことをそのまま絵として表現できたかなと思う作品です」

かとう ゆずさんは「主に日本画材やアクリルを用いて制作しております。猫や動物の可愛さ、体温や心の動きを表現できるように、これからも観察と勉強と研究を続けていきたいなと思います。世界中のどなたかの心の琴線になにか少しだけでも届いたらとても嬉しく思います。まだまだ未熟者ですがこれからもよかったらどうぞよろしくお願い申し上げます」と話してくれました。

繊細な、かとう ゆずさんの世界観に、これからも目が離せません!

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