シンセサイザーの音で読経、焼香も 京都で企画「コンテンポラリー法要」って?「仏教に親しみ持ってもらえたら」

京都新聞社 京都新聞社

 シンセサイザーの音が流れる中で読経し、焼香する-。一風変わった「法要」が、京都府南丹市八木町でのイベントで執り行われ、寺や仏教の間口を広げる試みとして関心を集めた。企画したアーティストは「変わる時代に合わせた表現があってよい」と語る。

 現代美術家として活躍する同市園部町の米谷健さん(51)とジュリアさん(49)夫妻、同市八木町で「もくじき鍼灸(しんきゅう)院」を営む僧侶黒田大地さん(32)が連携し、夫妻のアートハウス「夢」で昨年11月に行った。

 「現代的な」という意味の言葉を冠した「コンテンポラリー法要」と銘打ち、約20人が列席した。釈迦(しゃか)などが描かれた「十六善神図」の仏画や、人や動物、微生物の共生の崩壊がテーマで、死んだサンゴにシカの頭が覆われたような作品「Dysbiotica(ディスバイオティカ)(鹿)」が掲げられる中、黒田さんが経を読んだ。街中で拾ったノイズなどを音楽に活用して流し、参列者が焼香していった。

 仏教もディスバイオティカも「バランス」を重視する点が共通項といい、健さんは「微生物などのミクロの世界と、マクロの世界はつながる。パフォーマンスを通じ、宇宙という大きなものとつながってほしいというのがコンセプト」と語る。黒田さんは「面白そうでやってみたかったというのが一番だが、新たな切り口で仏教に親しみを持ってもらえたらいいなとも思う」と振り返る。

 健さんは、寺を舞台にしたアートの可能性を強調。「本堂には仏像があり、インスタレーション(空間芸術)と言える」とし、さらなる寺とのコラボレーションに意欲を示す。

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