10月にジャニーズ事務所を退所した滝沢秀明氏。トップアイドルから、ジャニーズ事務所の子会社「ジャニーズアイランド」の社長をつとめるなど、経営にも参画していた。
この「滝沢」という名字、メジャーな名字であることには間違いないが、その順位は考え方によって大きく異なる。というのも、「滝」と「沢」にはそれぞれ「瀧」「澤」という旧字体が存在するからだ。
最近では日常的に旧字体を使用する人はほとんどいないため、「滝」と「瀧」や、「沢」と「澤」は別の漢字と思っている人も多いが、そもそも新旧字体とは、漢字の書き方の違いに過ぎずルーツや意味的な差異はない。明治初期に初めて戸籍を登録する際に、役場の担当の職員がどういう形で書いたかによる違いでしかない。
従って、戸籍上では「瀧澤」だが日常生活では「滝沢」を使用しているという人も多く、「滝沢」と「瀧澤」を別の名字として区別してカウントするのは難しい。さらにこの中間の「滝澤」「瀧沢」という人も多い。また、読み方をみても「たきざわ」が多数を占めているものの、「たきさわ」と濁らない人もいる。
そうすると、漢字表記の4種類と読み方の2種類を合わせて、4×2＝8通りの「滝沢」さんが存在する。これらをすべて別との名字として数えるか、同じ名字の書き方や発音違いとして1つに数えるかで、その数が大きく変わってくるからだ。
因みに筆者は「すべて同じ」と考えおり、そうした考え方の下で作成したランキングでは293位である。多い順では、「滝沢」「滝澤」「瀧澤」「瀧沢」となっている。
ではルーツはどういうところかというと、文字通り「滝」のある「沢」だろう。
川は上流にあたる山の中では「沢」になっており、さらにさかのぼると滝のあるところも多い。こうした場所の付近に住んだのが「滝沢」さんである。水道や電気のない時代は、水が得やすく、魚も獲れ、さらに山で薪の調達も可能な沢は、極めて住みやすい場所であった。
全国的には「滝沢」は長野県と新潟県に集中しており、次いで、群馬県や埼玉県にも多い。とくに長野県の北信地区から新潟県の十日町市・上越市にかけてや、群馬県嬬恋村に多く、現在でも山間部に広がっている。
