絵本の読み聞かせ 「面白かった?」「分かった?」と聞いてはダメ 「もう1回読んで」のおねだりは最高のごほうび

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絵本の読み聞かせ、親子で楽しんでいますか?良質な絵本を選び、わが子とコミュニケーションを取りたいところですが、ちょっと待って!読み聞かせには「NG行動」があるのだそうです。

フリーアナウンサーで、絵本講師の資格を持つ花房果子さんに、子育て応援ウェブメディア「ココハレ」編集部が聞きました。絵本選びのポイントも紹介します。

ココハレ編集部がお話を聞いたのは花房果子さん。RKC高知放送のアナウンサーを経て、現在はフリーアナウンサーとしてラジオや司会の仕事をしています。NPO法人「絵本で子育て」センター(兵庫県芦屋市)の絵本講師の資格を持ち、読み聞かせの活動や、大人向けの絵本講座に力を入れています。

幼児期は「起承転結がはっきりしていて、スッキリ終わる絵本」

読み聞かせの悩みの一つが絵本選び。「たくさんの絵本の中から、どれを選べばいいの?」と迷いますね。

花房さんによると、幼児期は「起承転結がはっきりした物語」がおすすめです。

絵本講座などでよく紹介するのが「こんとあき」。「はじめてのおつかい」で有名な林明子さんの作品で、女の子の「あき」と、あきのおばあちゃんが作ったキツネのぬいぐるみ「こん」の冒険物語です。

物語のラストはハッピーエンドのようにスッキリ終わる方が、子どもは楽しめるそう。「ちょっと難しい終わり方や、もやもやする終わり方のお話は、小学生以上になってからがいいですよ」

絵本は読んであげることで完成します

花房さんによると、絵本は「絵と言葉、めくることから生まれる総合芸術」。大人が手に取り、子どもに読んであげることで、芸術として完成します。

読み聞かせをする際は、表紙の絵からしっかり見せて、タイトルと作者名も読み上げます。「作者名を読むことで、子どもは作者の名前を覚え、好きな作者の絵本を選ぶようになります」

中表紙、裏表紙にも絵が描かれていて、裏表紙の絵まで見ることで、お話の世界は完結します。

「一冊の絵本ができるまでにかなりの時間がかけられていて、さまざまな工夫がされています。声色を演出しなくても、素直に読むだけで楽しさが伝わりますよ」

「おやつの絵本」は控えめに

絵からさまざまな想像が膨らんだり、豊かな言葉で物語が展開したり。読み聞かせにおすすめの絵本は「主食の絵本」と呼ばれます。

一方で、キャラクターやアニメの絵本は「おやつの絵本」と呼ばれるそうです。

「おやつ」はもちろんあっていいのですが、「全部おやつになると、もったいない」と花房さん。特に子どもはおもちゃ感覚で絵本を選ぶので、任せておくとおやつの絵本ばかりになることも。

「主食の絵本は、大人が選んでお子さんに手渡してあげてくださいね」

「面白かった?」「分かった?」…大人から質問するのはやめましょう

家庭で読み聞かせをする際に気を付けたいのが「親からは質問をしない」です。「このお話、面白かった?」「この場面の意味、分かった?」とわが子に聞いてしまいがちですが、NG行動です。

「質問をすると、子どもは『次も聞かれるな』と気になり、お話の世界に入れなくなります。いろいろ聞きたいけれど、ぐっとこらえて!子どもが質問してきたら、対話するようにしましょう」

子どもは絵から想像を膨らませていくので、場面の説明も必要ありません。

ちなみに、同じ本を「もう1回読んで」と何度もせがまれるのは「親にとってはご褒美です!」。

「『もう1回』は『この絵本、とても楽しかった!』『絵本から感じ取りたい、学び取りたい』という子どもの気持ちの表れ。つまり、お父さん、お母さんの読み聞かせが成功したということなんですよ」

エンドレスはしんどいので、「じゃあ、あともう1回だけね」と応えてあげるといいそうです。

「大人に読み聞かせをしてもらった絵本は、子どもにとって大切な思い出になり、心の支えになり、生きる力にもなります。読み聞かせを『毎日しなきゃ』と義務にするとしんどくなるので、無理はしないでください。絵本の力を信じて、子育てしていきましょう」

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