待ってろ!神戸マラソン 3年ぶり2度目の42.195kmはすぐそこ~鉄爺、神戸を走る#1

沼田 伸彦 沼田 伸彦

鉄人爺さん、略して鉄爺。43年の会社生活を卒業し、「暇を持て余さない老後」をコンセプトに第二の人生にチャレンジする。里山、自転車、マラソン、旅にグルメに…。

 

 11月20日(日)午前9時。第10回神戸マラソンのスタートが刻々と近づいている。

 手元にはエントリーの証しである引換証が届いた。これを18日以降、ポートアイランド内に設けられた受付に持参すれば、当日胸に着けるICチップ付きのビブスやスタート地点で預ける手荷物用のポリ袋などを渡され、後は号砲を待つばかり…。

 人生初のマラソン挑戦の場として、住み慣れた地元の町を巡る神戸マラソンを選んだのは2019年のこと。コロナ禍による2年の延期を経て、3年ぶりに神戸を走る。人生2度目の42.195㌔だ。

 3年前の地獄のような苦しみを思い出す。レースの3カ月前から始めた走り込みで1日に走った最長距離は20㌔。根拠も実績もないのに完走は疑ってもいなかった。ところがまるで測ったように、19㌔の折り返しを過ぎ、未踏の距離にさしかかったあたりで左ふくらはぎにこれまでどんな運動でも経験したことのなかったこむら返りが起きた。

 立ち止まってふくらはぎを揉み、少し楽になったところでジョギングのような足取りで前へ進む。少し楽になってスピードを上げようとすると痛みが再発。何度走るのを止めてしゃがみこんだことか。延々とそれを繰り返しながら残り20㌔、15㌔、10㌔と何とか前進し、やっとの思いでゴールにたどり着いた。4時間58分12秒。目標の4時間30分にははるか及ばなかった。

 走り終わった後で、ベテランの友人にそのことを話すと、こむら返りを抑える飲み薬はいくつもあって、それを携行してスタートするのが常識だ、と笑われた。

 あれから3年。前回と同じく3カ月前から走り込みを始めた。本番までに300㌔という目標は達成できそうだ。反省を生かして、こむら返り対策の飲み薬も手に入れた。これで万全。目標は前回の記録を1秒でも上回ること、いや4時間30分…ところがどっこい。

 この3年間で一番変わったこと、それは自分が3歳年をとったことだと走る度に痛感する。体にはムチを打ち、走り込みのスピードは3年前の時速10㌔から11㌔に引き上げている。問題は肉体よりもむしろ心にある。とにかく根気が減退しているのだ。

 本番はさておき、黙々と走るだけのトレーニングが退屈極まりない。その退屈をしのぐためのエネルギーは目標達成へ向けた意地のようなものなのだが、ともすれば退屈が勝って、その日のノルマを前に走るのをやめることがしばしばあった。

 3年前には疑うこともなかった完走。それが今回は時としてリタイアという黒い雲が頭に湧く。

ああ、66歳。なにくそ、66歳。そんな気持ちの葛藤の中、スタートラインに着く。

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