「みかんの収穫中、「すいませーん」と声が聞こえた。何やろ?と近づくと、通りがかりの人がいた。「みかん分けて貰えませんか?」と言われ、金額を伝えると「こんなにいっぱいあるのに、無料でもらえないんですか!?」そして、捨て台詞のように「ケチですね」って…。言い方もやけど、モラルがな…。」
冬を代表するフルーツのひとつ、みかんは今収穫シーズン。大切に大切に育てたみかんを収穫していた生産者のまーくん和歌山の果物農家さん(@masaki0530122 以下まーくん)は、ある日、とんでもない出来事に遭遇。「みかんを欲しい」という通りすがりの女性に、「ただで譲ってくれないなんてケチ」と吐かれたその一部始終とやるせない気持ちをつぶやくと、あっという間に拡散されました。そのときの様子を聞きました。
「柿農家ですが、同じようなこと、あります。1年で今しか収入ないんだよ、これ全部売って1年暮らす、なんて想像もしないんでしょう」
「いっぱいある=タダでええやないかっていう感覚が異常。手間暇とお金が掛かってんねん。戴きたいんやけど、なんぼですかってのが普通でしょ」
「価値あるものには お金をだす 当たり前の感覚が狂ってるんだ」
「タダでもらえると考えるほうがケチだろ。相手は事業として栽培してる」
各地の生産者をはじめとする多くの人が、怒りのコメントを寄せました。
「地元の人は農産物を買わなくても食べられる、と言っているTV番組を都会の人が見て勘違いするのではないか」
「テレビで、タレントがもらったりしてるのを見て、誤解しちゃってるのがいるんだろうな」とメディアによる誤った影響を指摘する声、
「本屋に行ってたくさん本あるから下さい って言うんか 商品です」
「銀行でそれ言ってみてはどうですか?」
「本職の歌手に「タダで唄ってくれ」と言うようなもん」
商品=売り物だよ、と諭す人たちもいました。
ちなみに、あきらめた女性は、車に乗り込み「私やったらあかんかったわ」と言い、運転席の人が「ほな、次俺行こか?」という会話が聞こえ、改めて驚いたそうです。そのときの思いについて、まーくんさんにお話を聞きました。
意外過ぎるできごとに、ただただビックリ
――ツイートが大きな反響ですね
「たまたま、出会った出来事をツイートしただけなのに、思いのほか反響があり、ただただびっくりしました。 そして、リプライや、引用リツイートを見ていると、同じような体験をしている方がいて驚きました。リプライの中に、“テレビを観ると、よくタダでもらってるから、そう思ってしまいます”というものがあり、モラルもですが、テレビの影響もあるのかなと思いました」
――このできごとの男女二人は、その後、どんな様子でした?
「しばらく、乗ってきた車のところで話していましたが、そのまま立ち去りました。初めて見る顔で、この辺りの人ではないようでした。他府県の方だと思います」
――こういうことって、よくあるんですか?
「今回のような出来事は、初めてでまさか、味見したいとかではなく、タダでもらおうとしていた事にびっくりしました」
――各地の農家さんから同じような経験や勝手に持っていかれたことを嘆くリプライもありました。
「農産物の盗難などは、この地域も一昔前はよくあったようですが、今は落ち着いているように思います。今悩んでいるのは害獣対策。イノシシに食べられたり、枝を落とされたりすることも。一生懸命育てても出荷できなくなるので、 こちらにも目を光らせています」
――まーくんさんのみかん生産への思いをお聞かせください。
「あくまでも個人の考えですが、 果樹農家は、木を育てないと毎年収穫する事ができないので、実に対してもですが、木を大事に育てる事を心掛けています。木を元気に育てられれば、美味しい実を育ててくれると考えています」
過去のツイートでは、「【メモ】 農業は、生産だけでなく、開発、加工、流通、販売まで手掛けることのできる「クリエイティブな産業」創意工夫が力になる「脳業」でもあり、知恵や技術をベースとする「能業」でもある。」と投稿しているまーくんさん。
栽培への真摯な姿勢を見れば、無料で欲しいとは言えないはずです。みかん一個を作るために、どれだけの時間や労力をかけているのか思いを馳せて、「いただきます」「ごちそうさま」を言いたいものです。
■まーくん和歌山の果物農家Twitter @masaki0530122
■まーくん和歌山の果物農家Instagram https://www.instagram.com/masaki3005/