化粧して「猫吸い」子猫には有害!? 猫に優しいスキンケアは? キャットケアスペシャリストに聞いた

渡辺 陽 渡辺 陽

「化粧をした状態で猫吸いをするのはやめてくださいね!猫の体についた化粧は毛づくろいで全部舐めとられてしまいます。少量でも体の小さな猫にとっては害になる可能性が高いです。ハンドクリームを塗った後に猫を触るのも避けてください。猫の体についたものは全て猫の体内へ行くと思ってほしいです!」とツイートしたのはコルメルCat Specialistさん(@xCOLMELx)。

リプ欄には、
「お風呂上がりの清められた体で吸いますね…!」
「寝てる間にチュウしてくるので、入浴後はどんなに顔が突っ張っても何もつけませんし普段もスッピンです」
「猫のためならひび割れくらい...!!猫のためなら化粧しなくたって!!もふぅの幸せのためなら全然余裕」
という猫愛に溢れるリプライが多数寄せられ、「いいね」は2万件にもなりました。

ただ、化粧はともかくハンドクリームやリップクリーム、お顔の保湿はこの季節欠かせないのも現実です。キャットケアスペシャリストとキャットシッターの資格を持つ、猫のプロ、投稿者さんにお話を聞きました。

ーー猫に触れる時、ハンドクリームが気になる人が多いようですね。

「猫にとって安全なクリームもあります。例えば天然100%の馬油や白色ワセリンなどです。馬油は馬の脂肪を原料にした動物性油脂で、猫が舐めても害はないとされています。白色ワセリンは原料である石油から不純物を取り除き、高純度に精製されたものです。こちらも猫に害はないとされていますが、馬油もワセリンも舐めすぎて下痢になったという報告もあるので、大量に舐めさせるのはやめてください」

ーーハンドクリームの選び方を教えてもらえますか。

「基本的に添加物が入っているものは避けたほうがいいです。特にアロマオイルや精油(エッセンシャルオイル)など、植物の成分を抽出したものは猫にとって安全が確認されていません。アロマオイルの種類はとても多く、その全てに毒性があるかはハッキリと分かっていませんが、せっかくなら安全が確認されているものを使ってあげたいですよね。最近では猫が舐めても安全なハンドクリームが獣医師監修の元に開発され販売されています」

ーー塗ってから手に馴染んだ後なら、猫を触ってもいいのですか。

「馴染んだ後でもできるだけ猫を触るのは避けた方がいいでしょう。手に馴染んだからといってその成分が猫に全く付かないとは言い切れません。たとえそれが少量でも猫が毎日舐め続ければ悪影響になる可能性があります」

ーー湿布や肩こり・腰痛の時に塗る医薬品もダメだというリプライがありました。

「人間の医薬品には猫に毒性のあるものが多く含まれています。例えば塗り薬に含まれる『フルルビプロフェン』は大変危険で、実際に中毒症状によって猫の体調が悪化したり、中には腎不全を起こして亡くなってしまったという報告もあります。飼い主が体に塗った薬を猫が直接舐めたり、猫と一緒に寝ているときに薬が猫の体に付いてしまい、毛づくろいしている時に舐めとってしまうことがあるので注意が必要です」

ーー洗顔した後に何も塗らずにいるというのは、お肌には厳しいように思いますが。

「私は化粧水とフェイスクリームで保湿しています。塗った後は石鹸で手を洗ってから猫に触れるよう気を付けています。手には何も塗りません。リプ欄には『猫のために何も塗らないからいつも手がカサカサになる』といったリプライが沢山寄せられました。自分のお肌よりも愛猫を優先する飼い主さんがとても多く、皆さまの猫に対する大きな愛情を感じています。『猫吸いをするのは何も塗ってない時だけ』というリプもたくさんありましたし、たとえお肌に厳しくても猫のためなら我慢できるという方がほとんどなのかもしれませんね..!」

ーー猫とチューについてリプしている人もいましたが、リップクリームも気をつけた方がいいのですか。

「リップクリームにも気をつけてください。基本的に香料やアロマが入っているものは避けるべきです。そもそも猫とキスをすることで『人獣共通感染症』という人と動物の間で感染する病気があります。リップクリームに気を付けることも大切ですが、それ以前に過度なスキンシップはお互いのためにも避けた方がいいでしょう」

ーーでは、猫吸いもほどほどにした方がいいのかもしれませんね。

「『猫吸い』は猫のストレスになったり、サルモネラ症やトキソプラズマ症といった感染症に人間がかかったりするリスクがあります。愛猫と暮らす上ではほどよい距離感も大切にしてください」

ーー顔や手にに色々塗ったあとは、例え基礎化粧品だけでも舐めさせるのはダメなのですか。

「化粧品を人間の肌につける安全性は確認されていますが、猫が口から摂取する安全性は確認されていません。さらに化粧品にはアルコールが含まれていることがあります。アルコールは猫の体内で分解されにくいことが分かっているので、舐められないように注意する必要があります」

ーーもし猫に化粧品が付いてしまったら、どうしたらいいのでしょうか。

「基本的には日頃から石鹸で手洗いをすれば、猫と触れ合うのは難しいことではありません。もし猫の体に害のあるものが付いてしまった場合は、濡れタオルできれいに拭いてあげると安心です」

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