脱プラスチックに向けて、「スターバックス」「マクドナルド」などの飲食店が紙ストローを続々と導入。しかし、「まるでトイレットペーパーの芯」「違和感しかない」などその使用感を嘆く声が多いのも事実です。
そんな中、第3のストロー「草ストロー」の利用が静かに広がっており、SNSでも「これ、いいかも」「おいしく飲めそう」と話題に。東京農業大学国際農業開発学科で学びながら、草ストローブランド「HAYAMI」を仲間たちと立ち上げた大久保夏斗さんにお話を聞きました。
「草ストロー?何それ?」から起業
大久保さんが草ストローを知ったのは、偶然の賜物。「バックパックで旅行していた兄が飛行機で隣り合わせて意気投合したベトナム人のミン君から草ストローのことを教えてもらったことがきっかけです。僕自身、最初に聞いた時は、何それ?って思いましたが、使い心地も良いし、無農薬栽培や自然由来の製品だから特別なことをしなくても土に還ることに可能性を感じました」。
そこで大学に通いながら、草ストローで社会に貢献することを決意して起業。一般社団法人食品分析センターでの衛生検査を通過し、安全性を確保した上で販売にこぎつけました。「僕と兄とミン君の3人で開始したけど、ビジネスの経験がないから手探り。コロナ禍の2020年4月に活動を開始したのですが、コロナ禍真っ只中だから、売れるかどうかもわからず…。興味を示してくれそうな飲食店に、とにかくサンプルを配布しました」。
導入店舗は徐々に増え、2022年11月の取材時点で北海道から沖縄まで約250店舗に。草ストローを使用するお米のお菓子専門店&コーヒー焙煎所「NANAN TOKYO」の担当者は「様々なストローを徹底的に調べて試した結果、草ストローにたどり着きました。ほのかな自然の香りと優しい口当たりが好評です。お子様には半分にカットして差し上げています」。
草ストローでドリンクを提供した際、「テレビで見たことがあったけど実際に使用できて嬉しい」「プラスチックより写真映えするしトレンドに乗れて嬉しい」などのコメントをお客からもらったとグリル料理店「CITABRIA BAYPARK Grill & BAR」の担当者も話します。実際に草ストローを導入する使用店舗を利用することでSDGsに賛同できる、と消費者も考えるようです。
草ストロー使い終えた後にも、活用法が!?
同社による草ストローの原料は、ベトナム・ホーチミン郊外の農村地帯で栽培しているレピロニアと呼ばれるイネ科に近い植物の茎。茎をカットして、高温殺菌・UV殺菌を行って販売しています。
衛生面の観点から使い捨てを推奨していますが、循環させる仕組みづくりが今後の課題。草ストローを導入している福岡県の農業機械メーカーが運営するカフェでは、使用後の草ストローを店内で回収後、福岡市動物園のペンギンの巣材として無償提供。また、就労支援施設との連携も開始。発送業務などを委託し、障がい者の方々の社会貢献の実現と就労訓練の機会に繋げていますが、刻印業務など新たなスキルの習得および委託にも結びつけるためのプランを構築中です。
「このようなソーシャルプロジェクトをもっと多くの人が立ち上げ、参画できるプラットフォームづくりを考えています。ゆくゆくは使用後の草ストローを堆肥や肥料にして野菜づくりに活用したい。そこで栽培した野菜などの食材を飲食店に提供できたら。小さな変化が地球の未来を変える大きな変化に繋がると信じて活動していきます」と今後の展望を語ります。
草ストローは、BASEでオンライン販売され13cm/20本入280円、20cm/20本入400円(大容量パックもあり)。プラスチックや紙ストローよりも高価となっていますが、現地の人々を支援するために、適正な値段で購入・販売するフェアトレード商品としての価格設定になっています。
■HAYAMI公式サイト https://www.hayamigrassstraw.com
■HAYAMIの草ストローTwitter https://twitter.com/hym_grass_straw
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