物価高が続くなか、貯金するのも大変という人も多いのではないでしょうか。全国の20~60代の男女1000人(各年代200人ずつ)に「貯金・お金」について調査をしたところ、20代の約半数が貯金額「100万円以下」であることが分かったそうです。
貯金アプリ『finbee(フィンビー)』を開発・運営する株式会社ネストエッグが「物価高における貯金の実態調査」と題して2022年9月に実施した調査です。
まず、「世帯の貯金額」を調査したところ、全体では「300万円以上」の合計額が2020年の43%から2022年では49%と、6pt増加していました。
また、「世代別の貯金額」を2021年と2022年で比較すると、20代は「100万円以下」が9pt増加(38%→47%)した一方で、「300万円以上」が4pt(39%→35%)減少していました。20代の約半数が「100万円未満」の貯金額にとどまり、「300万円以上」の貯金額が減少していることからも、物価高などの影響により若年層の間で貯金に回せる額が減っていることがうかがえたといいます。
他方、40~60代は「300万円以上」の貯金額割合が増加しており、特に50代の「500万~1000万円」(12%→20%)は8ptの増加となっていたそうです。
次に、「貯金の目的」について2021年と比較すると、「資産運用」(9%→12%)と「生活費」(41%→44%)が3pt増加した一方で、「旅行」(8%→6%)、「住宅購入」(10%→8%)が2ptの減少となっていました。
これを世代別にみると、「資産運用」は全世代で増加しており、収入が伸び悩む中、資産を増やすことへの関心の高さがうかがえたといい、特に30代(7%→13%)、50代(6%→12%)は約2倍となっていました。
他方、20代は「旅行」(13%→6%)が-7ptと最も減少したほか、30代以外の全世代で減少していることから、同社は「旅行需要の本格回復まではまだ時間がかかるものと思われる」と説明しています。
続いて、「貯金方法」については「銀行の自動積立・定期預金」(30.1%)が最も多く、「口座移し替え」(19.9%)、「投資運用」(18.8%)と続きました。世代別では、20代の6.3%が「貯金アプリ」を活用していることが分かったそうです。
また、目標金額を達成するための「貯金ルール」を聞いたところ、「先取り貯金」「500円玉貯金」「不用品を処分する」が全世代で人気であることが判明。世代別でみると、30~40代は「不用品を処分する」が「500円玉貯金」を上回っており、フリマアプリの普及などリユース市場の拡大が見てとれたそうです。
30代では、好きなアイドルやキャラクターなどが活動をしたときに、推しへの気持ちを貯金する「推し貯金」や、1000歩歩く毎に100円貯金など歩いた歩数に連動して貯金する「歩数貯金」、1~365までの数字から1日1回、好きな数を選んで同額を貯金する「365日貯金」、1日は1円、2日は2円というように日にちに合わせて貯金する「カレンダーの数字貯金」といった、エンタメ性があり、自分の趣味・嗜好に合わせたルールでコツコツ行う貯金をしている人が多いことが分かりました。
「月収と項目別費用」について聞いたところ、全体で平均月収が「2万4765円」減少していることが判明。これを世代別でみると、30代~50代で減少していた一方で、20代、60代では上昇していました。月ごとの平均貯金額は「2万8076円」で、2021年度の「4万3252円」と比較して2万円以上減少したことも分かったそうです。
物価高が強まった2022年と2021年を比較して、「支出が増えた項目」を聞いたところ、全世代共通で、1位「食費」(51.9%)、2位「水道光熱費」(41.0%)が上位を占め、物価高の影響がダイレクトに現れる食費の増加が全体で5割に上り、また昨年から値上げが続いている光熱水道費も4割強が増加したという結果に。
一方、「支出が減った項目」については、「旅行」(20.6%)、「外食」(20.5%)、「交際」(20.1%)、「被服」(17.9%)などが上位に並び、外出や人との交流を控えている様子が反映される結果となりました。これを年代別でみると、20代、30代では「貯金」がTOP5にランクインしており、値上げ・物価高の影響から家計支出が多くなり、若年層において貯金に回す余裕がない傾向が見てとれたといいます。
「今後、増やしたい項目」に関しては、現役世代(20~50代)全てで「貯金」が1位、「旅行」が3位以内にランクインしており、時流的にも家計的にも我慢が続く中、「貯金」「旅行」への意欲は高いことがうかがえたそうです。
「お金に関する価値観」を調査したところ、全体では、今を楽しむことを我慢しても、将来のために貯金したいという「将来重視派」(39.7%)が最多に。次いで「どちらでもない」(35.2%)、将来のことより、今を楽しむためにお金を使う「現在重視派」(25.1%)という結果になり、世代別でみても、50代、60代を除く年代で同様の結果となっていたそうです。
ちなみに、2021年時は「どちらでもない」が最多だったため、物価高の影響で家計支出が多くなり「今を楽しむことを我慢しても、将来のために貯金する」意識が強まっていることが見てとれたといいます。
最後に、「貯金を増やすために行っていること」については、現役世代(20~50代)では「ポイ活」がお金を増やす手段として定番化しており、特に30代は54%の人が行っているほか、フリマアプリの普及などから、現役世代(20代~50代)の約25%が「不用品を売る」ことで現金を得て、貯金に回していることがうかがえたそうです。
なお、「キャッシュレス決済の利用率」は全年代で約3割で、一番利用率が低かったのはデジタルネイティブ世代の20代であることも分かったそうです。