博多大吉と産婦人科医が赤裸々に語る男性が知っておきたい「生理」のこと

松田 義人 松田 義人

 

NHKの情報番組『あさイチ』のキャスターとして、「生理」や「更年期」など女性の健康についてのテーマに多く触れ「これは男性も知ったほうが良い」と痛感した博多大吉さん。そして、日々重い生理に苦しむ女性たちの声に耳を傾けている産婦人科医・高尾美穂さん。

家庭内でも語ることが、ややタブー視されてきた「生理」について、この2人が赤裸々に語り合い、男性からの素朴な疑問をズバリ紹介した本が刊行されました。『ぼくたちが知っておきたい生理のこと』博多大吉、高尾美穂・共著(辰巳出版)という本です。

 

男性にはなかなかわからない「生理」について語った一冊で、「ぼくたちと生理の微妙な距離感」「生理は『痛い』のか?」「そもそも生理はなぜ起こる?」など、素朴な疑問をまじめに、しかし読みやすくまとめられています。

「生理休暇」の「休暇」という言葉が変わると良い

その対談の一部を抜粋してご紹介します。

大吉 ぼくの話をすると、整理中の痛みやPMS(月経前症候群)のしんどさ、それから生理のときに女性はどんな気持ちになっているのか、何を困っているのかを教えてもらったことで、「自分もちゃんと知ったほうがいい」という気持ちになったんです。生理前の不調も合わせると月に10日ぐらいしか元気なときがない女性も少なくないそうですね。これには本当に驚きました。男性も向き合わないといけない話だぞ、って。

〜中略〜

高尾 重箱の隅をつつくような「身体の仕組みとは」というレクチャーじゃなくて、まずは「ざっくり知る」がいいと思うんですよ。男性が生理について考えるとき、自分の身に起きることじゃないので想像力を働かせないといけないところがある。ざっくり知ることで、想像するための材料を蓄えていくイメージですね。

大吉 生理休暇があっても休めないという話はよく聞きますよね。ぼくが思うに、生理「休暇」って言葉が変わるといいんじゃないですか。生理のつらさを知らない男性からすれば、「休暇」って聞くとアウトレットでも行って楽しんでいるんだろう、って印象なんですよ。

〜中略〜

高尾 生理については「療養」など、もっとあてはまる言葉がありそうですね。呼び方を変えるの、いいアイデアだと思います!

大吉 ぼくの時代は、小学5年生のときだったかな、学校で女子だけが集められて、たぶんそういうことを教えてもらっていたんです。男子はそんなふうに成長の過程や生理について学んだことがないから、子どもに教えるのにむずかしさを感じる気持ちはわかる気がします。

高尾 いきなり生理の話をするのではなくて、こうして段階を踏んでいくことが大事だと思います。身体つきが変わりはじめてから初潮がくるまで、少なくとも1年はあります。1回や2回で教えるのは無理なんです。

本来なら学校でも、男女ともに、男の子と女の子の身体の違いや、どう変化していくのかについて何回かに分けて教えていく必要があります。でも、いまの時点ですべての学校にそうした性教育は期待できない……ので、家庭でも親御さんから話してあげると、お子さんの不安や戸惑いも減ると思いますよ。

男女問わず、調子が悪いときは休みましょう!

 

こういったカジュアルな語り合いに加え、「生理」に対する多くの人が持つ思いをアンケート集計したデータ結果や、さらに専門的な「生理周期とホルモン分泌の関係」といった知見データ、さらに「最新・生理用品ガイド」と、「生理」について多面的に紹介した内容です。

これまでに類を見なかった内容である一方、その内容の充実ぶりから「もっと早く出ていてもおかしくなかった」一冊のような印象も受けました。

著書の一人である高尾美穂さんに話を聞きました。まずは、対談相手・博多大吉さんとのやりとりについて。

「大吉さんの考え方が新鮮で、自分のなかにも女性として存在していた『思い込み』に気づかされました。かしこまって学ぶよりも、『すぐ隣にいる人』と気楽に話せるくらいが良いんだなと感じました。

大吉さんのお人柄のおかげで、とても穏やかないい本になりました。大吉さんのベースにある『やさしさ』や『思いやり』はもちろんですが、前向きにいろいろな物事を吸収しようとする姿勢、そして自分ごととして考える『我がごと感』に感謝しております」(高尾美穂さん)

博多大吉さんの「我がごと感」に感謝しながら、本書制作には特に注意した点もあるとのこと。その上で「お勉強的な本」にならなかったのもまた良かったと語ってくれました。

「生理のことを知らない男性を責めるような本にはしたくないな、と思っていました。ここも大吉さんのお人柄のおかげで、とても穏やかないい本になりました。

重箱の隅をつつくような細かい知識より、まずは『ざっくりと知っていただく』ことがありがたい、ということ。まわりの人への想像力を持つことがやさしさや思いやりに、そして多様性の理解に繋がると思っております。あとは、男女問わず、調子の悪いときは休みましょう!

男性にも女性にも、発見があると嬉しいです。そんなにお勉強っぽくないので、さくさく読んでいただけると思いますよ! 気になったページからどうぞ」(高尾美穂さん)

男性にとっては、「生理」を知り、理解することができる一方、女性にも知らなかった身体のメカニズムにかかわる話が満載の一冊です。ぜひチェックしてみてください!

『ぼくたちが知っておきたい生理のこと』博多大吉、高尾美穂・共著(辰巳出版)
https://tg-net.co.jp/tatsumi_book/12341/

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