【漫画】意見と誹謗中傷の違いとは? 言葉をキャッチボールに例えた四コマ漫画に共感の声、殺到

竹中  友一(RinToris) 竹中 友一(RinToris)

『言葉はボール』というタイトルでTwitterに投稿された四コマ漫画が話題です。

漫画を制作したのは、さまざな四コマ漫画を制作・公開され、その中でも時事ネタを取り入れた社会風刺的な作風や、人間の本質を突くような内容が人気のネコロスさん(@youyakuya)。

今回の漫画では、「言葉」について「キャッチボール」を用いて、親が子どもに教えるという図式で説明しています。

 「意見は、ミットに向けて投げる球」

親はそのように子どもに説明。その言葉通り、投げたボールはミットに命中。相手はボールの衝撃で手がビリビリと震えたものの、無事キャッチできました。

そして、親は「誹謗中傷は――」と説明を続けます。果たしてどんな球を投げるのか…?。

その驚愕のラストにはたくさんの反響が。

「うまい!座布団100枚上げたい!」
「うーむ、これは的をえている四コマだ···」
「その後、乱闘発生まっしぐらですね」
「そして、逆に同じボールを投げ返されたら大声で周りに触れて回る」
「相手がグローブ付けてなければ、投げる意見も手加減しないと誹謗中傷になっちゃう」
「ネットの相手はただの壁だと勘違いしている輩の多い事多い事…」

言葉は人間にとって必要不可欠なコミュニケーションの手段であり、会話は人と人とが関わり、つながり合っていくうえで、とても重要です。時には、違う思いをもつ相手に、意見として自分の思いを伝える必要が出てくることもあります。しかし、やり方を一つ間違えると、相手をいたずらに責め、傷つける誹謗中傷にもなってしまいます。

ネットを見ていても、日々多くの批判や誹謗中傷の言葉が投げかけられています。特に、ここ数年の「コロナ」や「ワクチン」「国際情勢」などに関しては、それが顕著であるように見受けられます。

できることなら、いたずらに相手を誹謗中傷するのではなく、意見として共有し合い、互いにより良い方に向かえるようにしたいものですが…。

ネコロスさんはどのような思いで、この漫画を描かれたのでしょうか。聞いてみました。

――この漫画を作成されたきっかけは?また、会話をキャッチボールに例えられた理由は?

ネコロスさん:誹謗中傷や意見、そして批判との違いをシンプルに漫画で表現できないか、ともともと考えていました。キャッチボールにしたのは、やはり会話自体がキャッチボールに例えられるからですね。そして、親が子どもに教えている図にしてみました。

――ネコロスさんの狙い通り、「意見」と「誹謗中傷」の違いについて、二極化して非常に分かりやすく表現していると感じました。漫画を描くうえで気を付けたことやこだわったポイントは?

ネコロスさん:正直、この漫画だけで「意見」「誹謗中傷」そして間にある「批判」を明確に区別できるものではありません。細かいことをいいだすと、「受け手がミットを構えている状態だったのか?」など、あまりにも多くのパターンが派生してしまいます。一番伝えたいのは「何にむけてボールを投げるか」という本質的な点ですので、賛否なども覚悟の上で、できるだけシンプルになるよう心がけました。

――近年はコロナ問題や国際情勢など、大きな課題が多く、その分誰かの意見を非難したり、誹謗中傷したりということが増えた気がします。

ネコロスさん:SNSは相手の顔も見えないですし、聞き手も不特定多数なので、つい本音が出やすく、実社会よりも過激になりやすい土壌ではないかなと思います。例えばコロナの件でいうと、「反ワクチンが――」みたいな話はSNSでは議論が活発ですが、実社会ではあまり聞かない印象です。実際に未接種の人も周りにいますけど、だからどうということもないですし。それよりは、上司の悪口のほうが100倍多いのではないでしょうか。

――実生活とネットでは話の内容や質も違うかもしれませんね。ネコロスさん自身にも、辛辣なコメントが来ることはあるのですか?

ネコロスさん:漫画そのものや私自身について否定するようなコメントをいただくことはあります。風刺系の漫画は感情を揺さぶるものですから、少なからずそういう反応があるのは覚悟の上で描いています。まぁ万人が喜ぶものってあり得ないと思ってますので、基本的には気にしないです。

――受け流す、というのも必要なスキルかもしれませんね。一方で、誹謗中傷を受けるばかりでなく、逆に自分自身が何気ない発言・発信等で他人を傷つけていたりする可能性もあるかと思います。その点について、ネコロスさんは、気を付けていることなどはありますか?

ネコロスさん:制作した漫画について、ちょっと過激かな?というものは、仲の良いフォロワーさんに見ていただいたりしています。今回の漫画も、ちょっとセンシティブなテーマでしたので、ある方に見ていただきました。で、「うーん。微妙かも…」みたいなご意見をいただいたので手直しをし、太鼓判をいただいたのが今回の作品になります。

――誹謗中傷のない社会を作るには、どのようなことが大切でしょうか?

ネコロスさん:誹謗中傷自体はなくならないと思います。なくなれば理想とは思いますけど、そこまで人間はうまくできてませんので。大事なのは、そういうことがあったときに、「おい、それちょっと行き過ぎだよ」と諌め合えるような人間関係ではないでしょうか。そして、やってしまったことは「すいませんでした」と謝ることのできる素直さも大事だと思います。大事なのはモラルのベースアップですから。訴訟などの手段に訴えるよりは、地道な啓蒙が大事ではないかと思いますね。

  ◇  ◇

ただ自分の思うままに発信するのではなく、受け手のことも意識しながら制作する。ネコロスさんが多くの人たちに受け入れられているのは、ご自身のそんな創作への姿勢もあってのことなのかもしれません。

会話においても、同じことがいえそうですね。

ネコロスさんは、このように深くて少し考えさせられるテーマのものも含め、四コマ漫画をほぼ毎日Twitterに更新されています。

■ネコロスさんのTwitterはこちら→https://twitter.com/youyakuya

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