関西空港で航空会社のパイロットを装ったコスプレをして「アイアムキャプテン」などと外国人留学生の女性に声をかけ、この女性が宿泊するホテルでわいせつな行為をした強制わいせつなどの疑いで、自称・会社経営の阪上和也容疑者(26)が大阪府警に逮捕された。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は20日、当サイトの取材に対し、「特定の職業になりすました犯罪が増えている」として注意を呼びかけた。
府警によると、阪上容疑者は今年6月、関西空港で大手航空会社のパイロットであるかのような衣装や荷物などで機長と偽り、外国人留学生の女性に「ハロー!アイ・アム・キャプテン・サカガミ。道案内をする」などと声をかけて、女性が宿泊先として予約していた大阪市内のホテルまで同行して部屋に入り、女性に抱きついてキスをしたり、体を触るなどのわいせつ行為をした疑い。今年7月、被害者の女性が警察に相談して事件が発覚し、強制わいせつと住居侵入容疑で今月逮捕された。
阪上容疑者は調べに対して「パイロットに憧れていた」と供述する一方、わいせつ行為については「無理やりではない」と容疑を否認しているという。同容疑者は大手航空会社の偽制服を着用し、自作の社員証を持っていたという。府警では余罪があるとみて調べている。
小川氏は「新しい手口というか、これまでなかったような犯罪。(ほぼ同時期に)偽の映画プロデューサーが演技指導と称して呼び出した女性にキスをするなどのわいせつ容疑で逮捕されていたが、そういう何かになりすます犯罪が多くなっているのかと思われる」と指摘した。
映画等の業界では権限のあるプロデューサーといった立場や、パイロットのように憧れを持たれることの多い職業に従事していると相手に信じ込ませ、その肩書への信頼感を利用してわいせつ行為などを働くという手口の犯罪が相次いで報じられている。
小川氏は「制服を着ているからとか、名乗った職業を真に受けてはいけない。すぐに信用しないことです。連絡先を聞いても、ニセモノの名刺を渡してくる者がいる。今回、パイロットを偽装した容疑者も偽の社員証を作っていましたから。ただ、今回のように、空港内で多くの人が見ている中で堂々とパイロットの制服を着て、『アイアムキャプテン』などと言われたら、たいていの人は『そうなのかな』と信じてしまう。だが、そういう時こそ常識で考えてほしい。今回のケースでいえば、制服のまま同じタクシーに乗り込んでくるとか、普通はあり得ません。絶対に拒否することが必要です」と注意を呼びかけた。