企業における"配属ガチャ"に対する世代間の認識の違いがSNS上で大きな注目を集めている。
きっかけになったのは「配属ガチャが嫌で内定辞退や早期退職する若手にキレてるおじさん達が若手だった時代は、会社の理不尽に耐えることで、将来的には年功序列で高い給料と役職が約束されてたけど、今の若手は給料も上がらず、専門性も付かなくて転職もできないって事実を知らないから、そんなこと言えるんだろうなって思う」というアンドリュー埴輪さん(@Lightsalary_OL)の投稿。
たしかに高度成長やバブルの時代とは異なり、現代では一個の企業にとどまっていておいしい目をできるのはほんの一握り。そのあたりの違いを認識しないまま内定辞退や早期退職を若者のワガママだと責めるのは酷と言うものだろう。
埴輪さんの投稿に対し、SNSユーザー達からは
「おじさんに多いんですけど理不尽に耐えることこそが仕事って思ってる節がありますね 簡単にいうと奴らのストレス発散に付き合うなら給料や待遇アップを『考えないでもない』。そして実際は頑張っても上がらない。若手はみんな賢いです。」
「てか今もあるのか分からないけど、昔はわざと会社への忠誠心を試すために僻地に配属したり、事前調査で本人が『絶対に配属されたくない』と答えた部署や土地へわざと配属したり、そんな事が企業によってはありました。上層部は『これは意義のある行為だ』等と言いますが、ただのイジメじゃん、と。」
「世代にもよりますが…就職氷河期世代にとっては『100社受けて落ちる』なんてのがザラだった時代なので今の感覚とはたぶんかけ離れているのもあるんですね。今でいう一流大学卒の人がそれだったので、いかに自由がない世界だったかという、今は職業選択の幅も広いので良い時代になりました…(まだ若い」
など数々の共感の声が寄せられている。
埴輪さんにお話を聞いた。
ーー世代の違いによるこういった認識のズレについてどのように思われますか?
埴輪:認識のズレについて、ある程度はやむを得ない部分もあるのかなと思っています。というのも、リプライや引用リツイートでもご指摘頂いているのですが、私は40代〜50代を想像して「おじさん」とツイートしました。ですがその世代は氷河期世代で、年功序列の恩恵を受けられないどころか、リストラ対象になったり給料が上がらなかったりと不遇な世代でした。正確に言えば年功序列の恩恵を受けている世代はおじさんではなく、おじいさんという訳ですね。
このように若手世代の私も他の世代への理解が浅いので、他の世代への理解を深めるのは難しいことは実感しています。ただ、その中で相互理解を深めていく事で互いに働きやすい職場ひいては社会に繋がると思います。
ーー今後の若い世代は企業においてどのような働き方をすべきと思われますか?また企業はどのように変化すべきだと思われますか?
埴輪:今後の若い世代は専門性を高める働き方をするべきだと思っています。若い世代でやりたい仕事を明確に見つけられている人は一部だと思います。それに、就活でやりたい仕事が出来る会社に入社できず、思い描いていた仕事ができないことを悲しんでいるような人も多いと思います。
また、いわゆる配属ガチャをハズレを引いて、縁もゆかりもない土地の配属になってしまったような人は絶望的な気持ちになり、会社への不信感を募らせているような人もいるのではないでしょうか?
配属ガチャに外れても、その環境で頑張ってみることで見えてくるものもあると思います。実際に仕事をやってみて適性があることが分かったりだとか、やりがいを感じたりすることはあるはずです。そうやって少しずつ適性を見極めながら、自分の専門性を高めていきたいですね。
企業に対しては、従業員が柔軟な働き方を選択出来るように変化して欲しいと思っています。コロナ禍で企業のテレワークを導入する企業が増えたと思います。これからもテレワークや副業容認など柔軟な働き方を推進してほしいですね。
ーーこれまでのコメントや反響へのご感想をお聞かせください。
埴輪:軽い気持ちでツイートをした内容がここまでバズって驚きました。
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読者のみなさんは埴輪さんの意見に対しどのように感じただろうか?社会は刻一刻と変化を続けている。世代を超えた現状の理解を大切にしたいものだ。
なお今回の話題を提供してくれた埴輪さんは今回の反響に乗じ、作家・麻布競馬場さんの「この部屋から東京タワーは永遠に見えない」(集英社)を紹介したいという。この本に収録されている「3年4組のみんなへ」という話は僻地の工場勤務で鬱病になってしまった経験を持つ教師の独白を描いたもの。今回の話題にも通じるところがあるテーマなので、ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。
アンドリュー埴輪さん関連情報
Twitterアカウント:https://twitter.com/Lightsalary_OL
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