大型台風近づき「ATMで現金引き出して」「停電したら現金しか勝たん」 過去の災害ではクレカ、電子マネーが使えない事態も

伊藤 大介 伊藤 大介

大型で猛烈な台風14号が接近する中、「ATMに行って現金引き出しておいてね」というツイートが注目されています。星見当番(@kaori_stargazer)さんは9月15日、「今日か明日のうちにATM行って、必要な分の現金引き出しておいてね。シルバーウィークと台風が来るからね。停電したりネットワーク障害が発生した場合、現金しか勝たんからね」と呼びかけました。電子マネーなどキャッシュレス決済が広まる中、「スマホ使えないと詰むからなあ」「北海道胆振(いぶり)東部地震では1週間近く停電が続いた地域もあって、電子マネー、クレジットカードは全く使えませんでした」と過去の被災経験をもとに共感する声が上がり、1万2000件リツイートされました。星見当番さんと北海道胆振東部地震を体験した佐藤ヒロさんに聞きました。

風水害、地震の被災者が「電子決済できなかった」

ーー災害時に現金が使えない可能性がある、と投稿した理由は。

星見さん「私とSNSで相互フォロー関係の人が、大型連休前に必ず『金融機関が閉まるので、現金を引き出しておくように』と注意喚起の投稿をしてくれているからです。そのため、私も『連休前だ→現金を出しておこう』がセットになっています。今回は大型連休に加えて、台風も直撃するので『停電になったらますます現金が最強だな』と思って、指差し確認のつもりで投稿した次第です。ここ数年、水害や地震による停電を体験した方々が『電子マネーやクレジットカードが使えなかった』とツイートしていたので」

「『大型連休と災害対策の安全指さし確認』のつもりで投稿したものが、1万リツイートを超えて驚いています。ツイートを見た方が『当時はお店の釣り銭も不足して困った』『1万円札は両替して千円札と小銭を多く持っておいた方がいい』と経験者ならではの補足もしてくださいました。これは私自身も思い至らなかったことで、ツイートを見た後自分でも小銭を作りに行きました」

停電でクレカ、電子決済NG ATMも動かず

星見さんの「現金引き出しておいてね」ツイートを見て、2018年の北海道胆振(いぶり)東部地震でキャッシュレス決済が使えなくなった体験をツイートした佐藤ヒロさんにも話を聞きました。

佐藤さんは「停電が回復しても電子マネー、クレジットカードが使えませんでした」と投稿し、コンビニでも小銭が不足した状況を目の当たりにし、小銭を持っておく重要性も指摘しました。

ーー北海道胆振東部地震に被災された時の状況について教えてください。

「北海道江別市で一人暮らしでした。私の住んでいた地区は市役所や病院が近いため、停電は震災当日の午後2時半に復旧しましたが、北海道全域が大規模停電するブラックアウトが発生し、数日停電が続いた地区もあったそうです。私の地区では断水も3日間ほど続きました」

「停電でクレジットカードや電子マネーの端末機も機能しなくなり、コンビニでは現金しか使えなくなりました。ATMもしばらく停止した為、現金をおろす事ができませんでした。その経験から、現金は普段から持ち歩いた方が良いと感じています。一万円札のような大きなお札だとお釣りがない時に困るので、ATMでは千円札をおろすなど、細かくした方が良いと思います。小銭は普段それほど必要ありませんが、イベント販売などで棒金(硬貨を棒状に巻いたもの)などを持っている場合、換金せず持っていた方が良いと思います。両替にもお金がかかりますので」 

◇  ◇

東日本大震災は2011年、北海道胆振東部地震は2018年。当時より電子決済は大きく普及し、日々の暮らしに当たり前の存在となったため、使えなくなる事態を想像しにくくなっています。現在、接近中の台風14号について、気象庁は「過去に類似する台風がないくらい危険な台風になる」と指摘し、最大級の警戒を呼び掛けています。くれぐれも備えを万全にしておきましょう。

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