フライパンで揚げ物料理をする際に気になるのが“油はね”ですよね。油がとんでこないように、つい蓋をしたくなりますが、この「揚げ物中に蓋をする」行為、めちゃくちゃ危険なことなのだそうです。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が、クックパッド株式会社と共同で実証実験をしたところ、「蓋をして揚げ物をすること」「少量の油で揚げ物をすること」で火災に至る危険性があることを確認しました。事故防止に向けて注意を呼び掛けています。
実証実験では、揚げ物調理を行う際に、やってしまいがちな調理法・15パターンについて、発火に至るかどうか検証。10パターンではコンロの安全機能が作動し発火に至らなかったそうですが、残り5パターンでは発火がおこり、揚げ物調理を行う際の注意点が確認できたといいます。発火したパターンは以下の通りです。
【検証1】26cmのフライパンに150ml (油の深さ:3mm程度) の油を入れ、蓋をして加熱する
実験によると、油の発火温度(約370度)に達していても、蓋が発火に必要な空気(酸素)を遮断して発火はしませんでしたが、蓋を開けたとたん一気に空気(酸素)が流れ込み、発火したそうです。
蓋をすることで、油の温度が上がりやすくなる上、蓋により油煙が外に出ずに過熱に気づくのが遅くなり、発火や火災のおそれがあることから、揚げ物調理中に蓋をするのは大変危険だといいます。
【検証2】26cmのフライパンに150ml(油の深さ:3mm程度) の油を加熱し、冷凍ポテトを入れ、蓋をしたまま揚げる
一度蓋をあけて大丈夫だったからといって、また蓋をした状態に戻して加熱を続けるのも危険です。蓋をした状態で揚げ物をすると、時間の経過とともに食材(冷凍ポテト)に含まれる水分が蒸発し、蓋の裏に大量の水滴が付いている様子が観察できたといいます。
一見、異常がなくても、蓋をあける際に蓋に付いた水滴が油の中に落ちると、水蒸気爆発により高温の油が周囲に飛び散って、火傷をする危険があるとしています。
【検証3】26cmのフライパンに600ml(油の深さ:2cm程度)の油を加熱し油温340度で蓋をする
油の温度が上がり、約250度を超えると通常は油煙が発生しますが、蓋をしていると油の温度が上がりやすくなるうえ、蓋により油煙が外に出ずに、中が見えにくい状態になるため、過熱に気づくのが遅くなってしまいます。フライパン用のガラスの蓋でも、煙が充満してしまうと発煙に気づきにくいので蓋をするのは危険だといいます。
【検証4】26cmのフライパンに500ml(油の深さ:1.5cm程度)の油を加熱し、新聞紙で蓋をする
IHクッキングヒーターも加熱によって油の発火温度に達すると、フライパンや鍋の中の油だけで発火し火災を引き起こすことがあるそうです。実証実験では、IHクッキングヒーターで加熱し、油温が約360度に達した時、新聞紙の端が発火する様子が確認できたそうです。また、火を使わないという安心感から新聞紙を蓋やシートがわりにして油はねを予防することは、発火するおそれがあり大変危険だといいます。
【検証5】蓋をせず、26cmのフライパンに少量(150ml-250ml)の油(油の深さ:3mm-1cm程度)で揚げる
蓋の有無にかかわらず油が少ないと、IHクッキングヒーターやガスコンロの安全機能がうまく働かずに発火する場合があります。実証実験では、鍋やフライパンの底から3mm~1cm程度の油で発火したそうです。
IH、ガスコンロともに、揚げ物をする場合の最低油量が決められており、油の量が少なかったり、減ってきたりすると、発火や火災の原因となります。また、フライパンなどの底が広い鍋で揚げ物をする際は、油の深さが足りないと発火や火災のおそれがあるとしています。
取扱説明書をよく確認し、揚げ焼きなどをする場合は、フライパンから目を離さず、キッチンから離れず、しっかり目視で確認しながら調理をすることが大事だといいます。
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NITEでは「揚げ物調理をする上で気をつけるポイント」として、以下の3点を注意するよう呼びかけています。
▽揚げ物中に蓋をしない
蓋をすることで、油の温度が上がりやすくなる上、蓋により油煙が外に出ずに、油が発火する温度に達する前に、過熱に気づくのが遅くなり、発火や火災のおそれがあります。揚げ物調理中に蓋をするのは大変危険です。
▽コンロの取扱説明書の油量を守る
取扱説明書に安全上の注意や、揚げ物については最低油量の記載があります。油の量が少なかったり、減ってきたりすると、発火や火災の原因となります。また、フライパンなどの底が広い鍋で揚げ物をする際は、油の深さが足りないと、発火や火災のおそれがあります。揚げ物調理に限らず、コンロを使用する際は取扱説明書をよく読んでから調理してください。
▽火をつけたまま離れない
特に揚げ物調理中は、調理中のものが燃えるなど、火災の原因になります。コンロから離れる時は一旦火を消してください。