「ゴミ屋敷」は高齢者だけの問題ではない 20代~50代の現役世代にも急増する予備軍

八木 純子 八木 純子

 いまや社会問題となっている「ゴミ屋敷」。大阪で不用品回収・粗大ゴミの処分などを引き受けている「関西クリーンサービス」(大阪市東成区)を運営するA-LIFE株式会社が「ゴミ屋敷予備軍に関する調査」を実施した。これまでゴミ屋敷といえば圧倒的に高齢者が多かったが、驚くのは近年、20代から50代の現役世代からの清掃依頼が急増していることだ。

片付け自体苦手な人は64.3%と半数以上

 ゴミ屋敷といえば高齢者のイメージがあったが、今回調査にあたったA-LIFEの代表取締役の亀澤範行さんによると清掃依頼は意外にも「20代から50代の現役世代にも増えている」とのことだった。そこで2022年春に「ゴミ屋敷予備軍に関するインターネット調査」を実施、モノやゴミが部屋にあふれて困った経験がある20代~50代の現役世代(調査人数729人)を中心
に、その家族(調査人数307人)を対象に調査し、このほどその結果が発表された。

 まず「具体的に何を溜めていましたか?(複数回答可)」の質問には「衣類(63.7%)」が半数以上を占めてトップ。生活必需品でもある衣類が溜まって困っている人が多いようだ。

 次いで「小物、アクセサリーなど(34.7%)」「本(34.4%)」「趣味関係のもの、カメラ、フィギュア、カードなど(33.7%)」が小差で続き「日用品、洗剤・トイレットペーパー など(28.0%)」「段ボール(25.8%)」「ゴミ(22.6%)」が上げられた。

片付けられない原因はストレスや忙しさも影響

 片付けられない原因を探るため、性格も聞いている。やはり「面倒くさがり(66.9%)」が最も多く、次いで「大雑把・ズボラ(41.2%)」「物が捨てられない(もったいない精神が強い/優柔不断)(39.2%)」などが続く。

 性格以外で考えられる理由については、一番多かったのは「ストレス(40.9%)」だった。他に「片付けに割く時間がないこと(39.6%)」「仕事や勉強の負荷が大きいこと(27.5%)」「環境の変化、一人暮らしになったなど(14.8%)」も挙げられている。

 「ゴミ屋敷は一般的に本人の性格の問題や怠けととらえられがちだが、決してそれだけではなく、ストレスや忙しさ、仕事や勉強による負荷など、生活環境が大きく影響していることも見逃せない」と、亀澤代表は分析する。

ゴミ屋敷を防ぐには、どうすればいいのか?

 部屋が汚くなっていく原因(複数回答可)に対しては「出したものを元の場所にしまわない(54.1%)」「物の置き場所が決まっていない(47.9%)」「床に物を置く(46.8%)」「見えないところに物を隠す(29.8%)」「ゴミをすぐにゴミ箱に捨てない(25.6%)」「収集日にゴミを出さない(18.8%)」など身につまされる回答もあった。

 家族は片付けられないことをどう思っているのかも調査している。結果、「モノが大切で捨てられないのだと思う」「片付けられないならモノを増やさないことを考えてほしい」と回答。片付いたきれいな部屋で過ごして欲しいという思いを語る家族が多かった。

 では、どうすればいいのか?ゴミ屋敷の片付けや住まいの整理など住環境を改善するサービス提供してきた亀澤代表はプロの立場からこう話す。

 「ご依頼を通して様々なゴミ屋敷を実際に目の当たりにしてきました。言えるのはどこにでも、誰にでも起こり得る出来事。しかし、一度ゴミを溜めてしまうと精神的・体力的な負担が伴い、自分の手で片付けることはますます困難になり、住環境の悪化が心を蝕み、悪循環を引き起こしてしまう。環境衛生の悪化は、精神衛生の悪化に直結する」

 その一例として「ワンルームで一人暮らしをする若者はリアルな人間関係を築くことに苦手意識があるのか、SNSに走って、最近はSNS疲れでメンタルな部分にまで影響が及び、ゴミ屋敷になってしまうということもある」と、亀澤代表は指摘した。

 一方、実際に解決した声を聞いてみると「思い切って物を捨てた(46.0%)」「意識や習慣を変えた(31.0%)」「引越しをした(25.0%)」などが上位を占めた。

 「片付けられないと思ったら1人で悩まずに、家族に相談したり、プロに任せるのも一つだと思います」と亀澤さん。

 A-LIFEが運営する「関西クリーンサービス」では家庭にある少量の粗大ゴミから大量のゴミ屋敷の片付けをはじめ、企業の産業廃棄物の処理まで行っているという。気になる人は相談してみるといいかもしれない。

▼関西クリーンサービス
大阪市東成区深江北3-16-39
https://www.k-clean.jp/

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