警察庁の例題を基に出題
島根県警運転免許課によると、問題文の元は警察庁が学科試験問題例として各道府県警向けに公開している。各道府県の公安委員会の警察職員が、例題を参考に地域の実情を加味して試験用の問題を作成し、出題するという。路面電車がある地域では路面電車に関する問題が多く出たり、紛らわしい表現はあらためたりと、地域ごとに違う問題が出される。
運転免許課の督永正城管理官は「問題はその都度、更新し、しっかり学科を学んだ人はほとんどが受かる難易度になっている」と話した。島根県だけでなく、多くの試験場では特に違和感のない、解きやすい問題文のようだ。
問題の元を作成している警察庁に取材すると、さらに詳しく分かった。問題は道路交通法により、国家公安委員会が作成した「交通の方法に関する教則」の内容から出題するよう決まっている。教則を基に例題を作成し、教則が改正されるたびに随時、例題を見直しているという。
警察庁では以前から問題作成の際、受験者の理解度を高めることに留意しているといい、各道府県警本部長に向けた、2021年6月付の庁運転免許課長の通達には「(各道府県の)運転免許試験担当課長は問題の正誤や問題文が分かりづらくならないよう審査すること」とあらためて明記された。通達では問題を少なくとも5年程度で全面的に更新することも求めている。先に紹介したネット上で話題の分かりにくい問題は、かなり昔に出されたものが記憶に残っていた可能性がある。
警察庁運転免許課の担当者は「受験者の規範意識向上のため、交通ルールの内容のみならず、ルールの意義を問うような問題を積極的に作成することを(各道府県警に)指示している。問題例については引き続き、安全運転に必要なルールや交通マナーが身につくものになるよう留意していく」とコメントした。
一見「難しすぎる」「理不尽」と感じるような問題も、自分と他人の身を守るための交通ルールを正確に定着させたいという、出題者の意図が背景にあるからかもしれない。大学や専門学校が夏休みに入り、これから教習所や試験場で学科試験に挑戦する学生が多くなる。最近の問題文は上で挙げたもののように分かりづらくならないよう留意されているはずなので、安心して受験してほしい。