愛嬌たっぷりのヤギがお出迎えしてくれる「RVパーク」が話題 6割がペット連れ、車中泊が楽しめる施設

山本 智行 山本 智行

 快適に車中泊が楽しめる施設「RVパーク」がいま注目を集めている。全国各地のホテルや旅館、温泉、遊園地などの一角に併設され、スマホなどの電源や24時間利用可能なトイレを完備しているのが特徴。この6月には”関西の軽井沢”と言われる生野高原(兵庫県朝来市)の老舗レストラン「カッセル」が手がけるRVパークもオープンした。早速、訪ねてみた。

 「生野高原カッセルRVパーク」があるのは兵庫県のど真ん中。近くにはゴルフ場やグランピング施設などもあり、緑豊かな自然に囲まれた山の中腹にある。大阪市内からだと車で2時間弱。生野インターからは10分ほどあれば、到着する。

 運営しているのは1979年創業の老舗「生野高原レストランカッセル」。カッセルは、ドイツの都市名だそうで、レンガ造りの洋館はツタが絡まり、何とも言えない風情がある。

 敷地内にRVパークが新設されたのは今年6月のこと。アウトドア市場は年々人気が高まっており、中でもリーズナブルに車中泊ができるRVパークは倍増ペースだそうだ。

 そもそもRVパークとは北米発祥の施設でキャンピングカーやトレーラーなど大型車両が乗り入れできるキャンプ場のことでRecreational Vehicle Parkの略。日本では車中泊を目的として認定された有料の駐車スペースを示す。

 現在、公式のRVパークは全国で約250カ所、関西エリアでは25カ所以上の施設があるという。ここも、そんな時代の流れに沿ったものだが、小林智也副支配人は新規事業の思わぬ反響の大きさに笑顔を浮かべる。

 「以前は館内での宿泊もしていたのですが、近年はレストラン中心の営業のみ。そこへ、コロナですから正直大変でした。そこで広大な土地と施設を生かそうとRVパーク事業を始めたわけです。最初は不安な面もあったんですが、オープンしてみると思った以上に予約が入って喜んでいます」

 ここ生野高原カッセルRVパークには6台分の駐車スペースがあり、それぞれに電源を設置。24時間利用可能なトイレも完備されている。最大の特徴は何と言っても、運営元が創業43年の老舗レストランということからも地元の食材を生かしたディナーが楽しめることだろう。”素泊まり”もいいけれど、せっかくなので少しぐらい贅沢をしてもいいのではないか。

 コースは4400円から8800円まで4種類。鹿肉のジビエ料理を味わうこともできるが、オススメは何と言っても兵庫県産の「但馬牛」と「八鹿豚」だ。早速、但馬牛のシャトーブリアンを口に含んでみたが、うっとりするほど芳醇でまろやか。何とも言えない幸福感に包まれたのは言うまでもない。

 また瀬戸内で取れたスズキやタコにズッキーニやパプリカを合えた前菜の「魚介とラタトゥイユ」など出てくる料理すべてが思わずニンマリするほどおいしかった。

 そうそう、忘れてはいけないのが本来の濃厚な味がする10種類の野菜が入ったサラダ。これに栄養バランスが取れていることからスーパーフードと呼ばれるキヌアも添えられているから体にも相当良さそうだ。

 これまでの予約客はシニア世代の夫婦が大半だったそうだが、小林副支配人によると、夏休みに向けては子ども連れのファミリー層も増えているそうだ。

 「ペットも大歓迎です。これまで6割ぐらいがペット連れでした。レストラン側には入れませんが、RVパークでは一緒に過ごせますし、今後はドッグランをつくろうかと考えています。ファミリー向けにはバイキングなども用意していますし、テニスコートやビリヤード、もちろんお風呂もあるので、ぜひ楽しんでください」

 しかし、ここのRVパークの魅力はまだある。それは1歳4カ月になるヤギの女の子「スザンネ」ちゃんの存在だ。愛称「スージー」は敷地内で放し飼いされていて、自由気ままにテラスなどを散歩。人懐っこく、愛きょうたっぷりで、いまやすっかり看板娘となっている。

 さらに、近くには「日本のマチュピチュ」とも称される「竹田城跡」やあさご芸術の森美術館、映画「ノルウェイの森」のロケ地になった砥峰高原なども車で30分圏内にある。

 もちろん、高原とあっていまの時期でも吹く風は爽やかだ。春の夜桜に始まり、そこから新緑の季節へ。秋の紅葉も見事だという。小鳥のさえずりで目を覚まし、夜になると満天の星空を眺めることができる。

 「ここは豊かな自然が残っているので、シカの親子に遭遇することもあります。もちろん、愛きょうのあるスージーにはいつでも会えますよ」と小林副支配人。都会の喧噪をしばし忘れ、ここRVパークを訪ねてみてはいかがだろうか。

生野高原カッセルRVパーク
1泊1台 2970円(税込)車1台につき、定員5名。6名以降は1名につき500円の追加費用が発生。詳しくは生野高原レストランカッセル(https://kassel.base.shop/)、生野高原カッセルRVパーク(https://www.kassel.jp/rvpark/)まで。

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