助けを求め、死んだ子猫をくわえていた猫 ふたたび“大きなお腹”で現れて…「命を救いたい」動物病院3軒めぐって判明したこと

渡辺 陽 渡辺 陽

みかんちゃん(5歳・メス)は、ゴミ捨て場でゴミを漁って生きていた。

大阪府に住むmikaさんの娘さん(当時4歳)は、猫が好きだった。mikaさんが「昨日ゴミ捨て場に茶とらの猫ちゃんがいたから見に行ってみる?」と声をかけ、娘さんとゴミ捨て場に行くと、そこには少し小さなサビ三毛がいたという。

「尻尾を5cmくらい怪我をしていて、血がポタポタと落ちていました。みかんの皮を食べようとしていました」

その日からmikaさんは、猫をみかんと名付け、毎朝毎晩会いに行った。だんだん玄関の扉を開けるとみかんちゃんがいるようになり、いない時は、「みかんー!」と呼ぶと、どこからともなく現れた。

「毎朝、娘が幼稚園にいく時100mほどついてきて見送ってくれて、帰りも自宅から100mほどのところで待っていて、毎日迎えに来てくれました」

みかんちゃん出産

数カ月経ち、mikaさんはみかんちゃんのお腹が大きいことに気がついた。妊娠していたが、数日後にはお腹がへこんでいた。

「子猫の姿を探しましたが、どこにも見当たりませんでした。心配していたら、2週間後、みかんが子猫をくわえて来たんです。でも残念ながら赤ちゃんは死んでいました。可愛いキジトラの赤ちゃんでした。きっと助けを求めて連れて来たのだと思います」

子猫が死んでみかんちゃんは授乳できなくなり、おっぱいが腫れて熱を持っていた。それからみかんちゃんは現れなくなった。

「寂しくて、悲しくて、私は毎晩みかんを探しました。でも、3週間後、みかんがひょっこり現れたんです。お腹がへこんで痩せていたのに、またふっくら大きくなっていました。『次は子猫を救いたい』と思い、動物病院に連れて行きました」

腎臓の手術と引っ越し

1軒目の病院では、「エコーでは妊娠していない。お腹のふくらみが何なのか分からない」と言われた。2軒目の病院では「緊急手術をします」と言われて開腹手術をしたが、「原因が分からなかったので閉じました」と言われた。3軒目の病院でやっと「腎臓が破裂しそうに膨らんでいるので、腎臓を摘出します」と言われ、怪我をしている尻尾の手術も同時にしてもらった。

当時、mikaさんはペット不可の住宅に住んでいたが、みかんちゃんを迎えるために引っ越した。2017年9月9日、退院したみかんちゃんを無事迎えたという。

「みかんが入院している間に急いで引っ越して、みかんを迎える準備をしました。娘と二人暮らしだったので、みかんが帰ってきて娘もとても喜んでくれました」

みかんちゃんはチビママ

mikaさんは、みかんちゃんを飼った時、野良猫の自由を奪ってしまうのではないかと思ったそうだ。

「みかんは外で猫として自由気ままに過ごしたいのかなと、すごく悩みましたが、みかんは私の膝の上でくつろいで甘えてくれました。外には一度も出たがらず、『家猫になってよかったよ』と言ってくれたように思えました」

みかんちゃんは人間の言葉を理解しているような行動を取ることが多い。娘さんが「このお手紙運んできて」と、みかんちゃんの首にぶら下げたバッグに手紙を入れると、mikaさんのところに届けれくれる。「もう一回やって」と言うと同じ動作を繰り返してくれる、とても賢い猫なのだという。

mikaさんは、みかんちゃんを迎えて娘がもう一人増えたような気がした。みかんちゃんは娘さんのままごとに付き合ってくれたり、寝かしつけする時も一緒に寝てくれたりした。宿題をする時も、机の上で毎日見てくれて、どんな時もみかんちゃんは娘さんと一緒にいてくれた。

「みかんは娘を見守ってくれる存在になりました。みかんはかけがえのない家族で、親友で、娘を一緒に育ててくれるチビママです」

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