「アンナミラーズって井村屋だったのか!」閉店で知った驚きの事実 「あんこだからアン」由来の噂は本当?

金井 かおる 金井 かおる

 井村屋グループは6月14日、レストラン「アンナミラーズ高輪店」を8月31日に閉店することを発表しました。閉店を惜しむ声とともに目立ったのが「アンナミラーズって井村屋だったのか!」の声。これに加えて、井村屋運営を知っていた人たちからは「アンナミラーズのアンは井村屋があんこで有名だから」という反応も複数ありました。同社に話を聞きました。

「井村屋だったの!?」驚きの声続々

 アンナミラーズは1973年6月13日、東京・南青山に1号店をオープン。当時の井村屋製菓初代社長が、アメリカンパイで知られるアメリカ・サンフランシスコのアンナミラーズ社と提携したのが始まりです。

 高輪店閉店の発表後、ネット上では「アンナミラーズって井村屋だったのか」「井村屋がやってたのか」「アンミラが井村屋って初めて知った」など驚きの声が多数上がりました。

 この反応について同社担当者は「まずは、49年間という長い間ご愛顧いただき誠にありがとうございます」と感謝の気持ちを述べた上で、「皆さまの驚きの声については、井村屋が和のイメージを持っていただいているのに対して、アンナミラーズは洋のイメージが強く、当社としても積極的に井村屋が運営しているということを出していなかったということも驚きの理由のひとつかなと思っております」と感想を述べました。さらに「今回の件で、アイスクリームや肉まんだけでなく、洋菓子なども扱っている当社の多様性を知っていただけたら幸いです」としました。

 Twitterを中心に「アンナミラーズのアンは井村屋のあんに由来」という説がまことしやかにつぶやかれていることを伝えると「全くそういう意味ではありません」と笑ってSNS上の噂を否定。アメリカのアンナミラーズ社から由来することを教えてくれました。

 アメリカのアンナミラーズ社はスタンレー・ミラーさんが創業。スタンレーさんの祖母アンナさんが作るペンシルバニアダッチスタイルと呼ばれるドイツ風家庭料理やパイをメインにしたレストランというところから「アンナミラーズ」と名付けられたといわれています。

 アンナミラーズのアンは、井村屋あんこのあんではなくアンナさんのアン。ネット上の噂は都市伝説だったことが判明しました。

日本国内では25店舗が展開

 日本のアンナミラーズの歴史は、南青山店オープン翌年の1974年から2000年の間に、赤坂店、自由ヶ丘店、広尾店、目黒店、駒沢店、吉祥寺店、下北沢店、玉川店、高輪店、渋谷スペイン坂店、浅草ROX店、仙川店、相模大野店、横浜元町店、向ヶ丘遊園店、横浜ダイアモンド地下街店、渋谷パオ店、青葉台店、千葉そごう店、横浜ランドマークプラザ店、横浜八景島店、立川店、オペラシティ店、アクアシティお台場店と計25店舗を展開。スタッフが着用する制服のかわいらしさも名物のひとつでした。

 「当時日本にない数々のパイや、コーヒーのおかわり無料サービス、アメリカと同じユニフォームなどアンナミラーズが提供したおもてなしサービスの数々は、高度経済成長期にあった生活スタイルに合致し、多くのお客様にご支持いただきました」(同社)

 現存する店舗としては、1983年11月開店の高輪店が国内唯一の店舗でしたが、品川駅西口基盤整備事業に伴う移転要請を受けて閉店することが決まりました。

 今後について担当者は「今回は国土交通省より移転要請があり、店舗は閉店をいたしますが、アンナミラーズのパイやチーズケーキなどはECサイトにて販売を継続してまいりますので、ぜひお買い求めいただけたらと思います」としています。

 同店公式オンラインショップでも人気のチェリーパイやダッチアップルパイ、アップルパイ(いずれも税込3704円)などのホールパイが購入できますが、15日朝10時現在、全商品が売り切れ。人気の高さがうかがえます。

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