野菜を育てたり、工場製品を作ったりする時に必ず出てくる規格外の傷もの、ハネモノ。こうしたハネモノを赤字覚悟で売っても、消費者に仇(あだ)で返される、という「ハネモノ販売の闇」を描いた漫画が注目されています。漫画を描いた小本田絵舞(@komotodaemai)さんに話を聞きました。
「赤の他人へのもてなしは自分を殺す」
漫画には、畑で野菜を育てる小本田さんの知人が登場し、形がふぞろいだったり、傷が入ったりしたイモ10キロを「廃棄するよりは…」と送料のみ(800円)で販売したという実話が展開されます。800円に箱代や作業代は含まれておらず、採算度外視でした。
ところが、購入者から返ってきたのは「800円もしたのに形が悪い、小さい」「傷つきイモ入ってる」「最低」といったネット上に書き込まれた低評価でした。その口コミではハネモノを承知で購入したことや、オマケで多めにイモが入っていた点には触れられず、「ただ傷イモを送り付けてくる酷い業者」と酷評されていたのです。
小本田さんの知人は「赤の他人へのもてなしは自分を殺す」という重い言葉を残し、ハネモノは廃棄するようになったといいます。
消費者の迷惑行為…悲しみと怒りが原動力に
ーー今回、ハネモノ販売の闇を描いた漫画を作った理由を教えてください。
「前々からマナー違反の消費者による迷惑行為の話は聞いていました。自分が好きだった洋菓子工場も同様の迷惑行為からアウトレット販売をやめてしまったので、悲しみと怒りから描いた感じです」
「(漫画に登場した)知人は、自分の家用の野菜作りがメインで、たくさんできたら地元の道の駅などに置いている感じです。捨ててしまうよりは、と私も規格外野菜をいただいたりしています」
ーーマジモンのハネモノに怒る人がいるから、ハネモノ販売用に適したハネモノをわざわざ選別している、という話が驚きです。
「本当の野菜のハネモノは、友人が家で消費する場合以外は廃棄だそうです。以前『小さいけど…』と格安でお店に並べたら、『小さい‼』とクレームが入ったとか。クレームはたまたま無人販売所に補充に来ていた方に聞きました。料金箱を盗まれたりもしたそうです」
クレームも「ゴミだろ?タダにしろ」「形が悪い」などハネモノの意味を十分理解していないものも少なくないといいます。
ーー漫画が反響を呼んでいます。
「反響の大きさから野菜に限らずあらゆる事に同様のトラブルが多い、というか多過ぎるというのがわかりました。本当にお疲れ様です…そしてアウトレット好きとして感謝を」