家族で9億6000万円コロナ給付金詐欺、海外逃亡中の主犯格容疑者は逮捕されるか?小川泰平氏が解説

小川 泰平 小川 泰平

 国の新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取ったとして詐欺容疑で会社役員の谷口梨恵容疑者(45)ら三重県の親子3人が逮捕され、申請に36都道府県の個人や法人の名義が使用されていたことが分かった。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は31日、当サイトの取材に対し、梨恵容疑者の元夫でインドネシアに逃亡しているとみられる主犯格の谷口光弘容疑者(47)が逮捕される可能性について、海外での捜査手順を解説した。

 谷口容疑者らは2020年6-8月に兵庫県内の50代男性会社員ら3人が受給資格を満たしていないのにもかかわらず、給付金を申請し、計300万円をだまし取った疑いで逮捕された。警視庁によると、この親子を中心としたグループは20年5-9月に計約1780件の虚偽申請をし、9億6000万円以上を詐取したとみられる。グループはSNSやセミナーで虚偽の申請者を集めて手続きを代行していた。申請者の内訳は東京都約640件、神奈川県約220件、愛知県約190件などで、同一グループによる持続化給付金の不正受給としては過去最大規模という。

 警視庁は谷口光弘容疑者がリーダー格とみて全国指名手配しているが、同容疑者はインドネシアに逃亡中とみられている。今後の捜査はどうなるのだろうか。

 小川氏は「インドネシアには日本との犯罪人の引き渡し条約はありませんから、国際手配をします。これは『国際指名手配』ではなく、『国際手配』というものですけど、赤手配とか青手配などがあり、谷口光弘容疑者の場合は青手配かと思われる。つまり、ある人物の情報、どこそこの空港を降りてどこの空港に行ったのかといった情報を得ている段階だと思います」と説明した。

 日本の警察が国際刑事警察機構(ICPO)に国際手配を依頼するが、この国際手配には、身柄拘束を求める「赤手配」と容疑者の情報を求める「青手配」等の手配がある。

 小川氏は「赤手配は日本では現在あまりないですが、テロ関係などです。青手配、緑手配、黄色手配、黒手配など7種類、特別手配を入れると計9種類ありますが、そのうち、青手配は容疑者の情報を求めるもので、事件関連では、赤手配の次くらいに位置する手配です」と付け加えた。

 その上で、同氏は「インドネシアは現在、コロナ禍でビザ無し渡航はできない。光弘容疑者はなにがしかのビザは持っているとは思いますが、いずれ、その期限が切れて不法滞在になるか、既に不法滞在中かもしれません」と指摘した。

 この「不法滞在」が逮捕につながるポイントになる。

 小川氏は「日本の警察が現地に飛んでも、インドネシアで捜査はできないが、現地の警察にリクエストして、どこにいるかが分かれば、外務省を通じてパスポートの返還命令を出して、国にいること自体がダメだということにするか、30日間のビザならその期間が過ぎた時点で、不法滞在として身柄をインドネシア警察が拘束し、強制送還で日本に帰らせる。そして、航空機内で日本の領域に入った時点で逮捕状を執行するというパターンになると思います」と解説した。

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