保育園や幼稚園では保護者同士の人間関係も気になりますよね。誰だってうまくいくことを願いますが、残念ながらうまく行かないときもあります。元保育士の里恵さん(30代・関西在住)は、保育園で同じクラスの最年長保護者だったAさんから嫌がらせを受け、とても悩んだ経験があるそうです。
――保育園を利用したきっかけを教えてください。
産後私の体調が優れず、訪問保健師さんから保育園の利用を強く勧められたからです。それまではまったく保育園の利用は考えておらず、子どもが3歳になる頃に復職を考えていました。しかし「1歳になるお子さんを保育園に預けてゆっくり体を休めたほうがいいですよ」とアドバイスをいただいたことが、保育園を利用するきっかけとなりました。
保健師さんが疾病で保育園を利用するためには診断書が必要だと教えてくれ、診断書を取るため病院に付き添ってくれました。その後、無事に1歳児クラスの入園が決まりました。
――保育園でほかの保護者から嫌がらせを受けたそうですが。
Aさんはクラスの保護者の中で最年長のボス的な存在でした。入園して間もない頃に娘が緊急入院をしたことがあるのですが、付き添い入院が必要な病院だったので、私は子どもに2週間ほど付きっきりでした。
すると誰から聞いたのかわかりませんが、Aさんから「なぜそんなにお仕事が休めるんですか?」「お仕事は何してるんですか」「何日もお仕事を休めるのはおかしいと思います」といった一方的なLINEが入院中に送られてきました。
「保育士です。現在休職中のため仕事はしていませんが、体調がよくなり次第保育園に復帰します」と答えたら、「なんで働いてない人が保育園利用できるんですか」「資格もないくせに保育園で働けるんですか。あなた資格持ってるんですか」と行った返信があり…。話にならないのでその後は放っていました。
――不正利用を疑っているような雰囲気ですね。
実際に、Aさんは私が保育園を不正利用をしていると園でも騒ぎ立てたようです。退院後、園長先生から「Aさんには保育園の利用条件を説明したけど、彼女はそんな理由は認めないといって怒っていた」と聞かされました。
Aさんは「就労以外の理由で保育園利用は認めない」と園長に主張していたようで、私が不正利用していると役所にも通報されました。この頃からAさんからの嫌がらせはひどくなるばかりでした。
――ほかにもどんなことを言われましたか。
娘がかわいいヘアゴム(安全に配慮されたもの)で毎日髪の毛を結んでいたのですが、Aさんから「うちにはかわいいヘアゴムを買うお金がない」「うちはお金に困っている」とまたまた身に覚えのない言いがかりをつけられました。私のすべてが気に入らなかったのだと思います。ちょうど子どもが園を休んだ日に園長先生と担任が家庭訪問に来られ、「彼女はお金がなくて生活に困っているそうなので、今後髪留めは黒のビニールゴムにしてください」と言われました。
また、園では白のお昼寝シーツを使っていたのですが、買い換えるときは好きなものを用意してくださいとのことでした。寝具店に行くと「今の時代、子ども用の真っ白なシーツは取り扱っていない」と言われたのでキャラクターの絵柄がある物を購入しました。翌日シーツを交換したのですが、お迎えのときにAさんが「うちの子が欲しがるから使わせないで」と言い出し、担任からも「このシーツは使えません」「子どもが欲しがるので持ち帰ってください」と言われました。他のお子さんたちはキャラクターものを使用しているのに、私だけ使用禁止になるのは納得がいきませんでした。
――Aさんからの嫌がらせはどれくらい続きましたか?
嫌がらせは2年近く続きました。私の服装が気に入らないと言われたこともありました。Aさんいわく「いつもきれいな格好をしていてずるい。私はズボンしか履かないのに」とのことでした。このとき園長先生からも「ズボン持ってないの?」と聞かれ、まさか保護者の服装に園長先生自ら口をだすなんて、と驚いたのを覚えています。
また、クラス役員を決める席ではAさんが勝手に私を役員にしたので反論をすると「働いてないくせに文句あるなら保育園辞めたら?」と言われました。私が働いていないことが心底許せなかったのでしょうね。
しかしその場にいた同じクラスの保護者も、「非常識な保護者の様子」に常々疑問を持たれていたようで、市立の幼稚園への転園を考えていた方から帰り際に「里恵さんのお子さんも転園させませんか?」と声をかけてもらいました。
その時転園までは考えてはいませんでしたが、せっかくの機会だったので思い切って保育園から幼稚園に転園させることにしました。
――転園してよかったですか?
転園した園には園と同じような教育方針を持った親御さんが自然と集まってきていたので、個人的には幼稚園に転園させて本当によかったと思っています。非常識な方も、嫌がらせをする方もいませんでした。
◇ ◇
世の中には嫉妬から相手を攻撃する人もいます。理不尽なことを言ってくる人もいます。嫌な思いをしてその場に居続けるより、一歩勇気を出して環境を変えてみるのも一つの案かもしれません。