がんばったね、ゆっくりおやすみ みんなに愛された京都の消防団犬 祇園祭では詰所に“待機”した名物柴犬ココちゃん

N.Ritsu N.Ritsu

 京都市下京区の永松消防分団で消防団犬として活躍した柴犬のココちゃん(メス)が、3月16日に旅立ちました。18歳9カ月でした。

 飼い主の村田きよみさんの義父が消防団の団長だったことから、ココちゃんは5歳のときにマスコット犬として活動を始めました。消防活動のキャンペーンや巡回などに参加し、たくさんの地域の人たちに愛されました。村田さんにお話を伺いました。

――ココちゃんの仕事は何ですか?

「広報活動、月2回の巡回、あとは年末と祇園祭のときとかも詰所に行っていました。生きているゆるキャラみたいな感じです」

――初めての仕事は?

「2008年です。最初は高島屋の前で、火の用心のティッシュを配るときに一緒に連れていって、家が町中でそこらへんも散歩で通るから、人込みのところもそんなに動じなかったです」

――ココちゃんはどういう性格ですか?

「(消防団イベントに)PR隊長として行ったんです。町中は大人の方が多いんでスマホで写真を撮るとかくらいですが、このときは子供さんがけっこう来られてて、ココをチュンってつついたり、急に触ったりしてるけど、動じなかったのですごい子やなと。もともと人は大丈夫で、犬があんまり好きじゃなかったみたい。ルナ(シェルティー)と6年前から住んでるんですけど、それから犬も大丈夫になったかな。自分は人間やと思ってたみたい」

――消防団犬を引退したのはいつですか?

「『引退します』っていうのはなかったけど、義父は去年の5月に亡くなって、その1年くらい前に団長をやめたのかな。それとココも歩けなくなってたんで。消防団もコロナで火の用心もなかったし、活動自体も中止にされてたんで、それくらいのときに、ココも年を取っていたし、行かない感じになってたんです。最後は2年ほど前、コロナ禍になる前やったかな。抱いたりして参加してたんです」

 ココちゃんは子宮蓄膿症、ヘルニアなどたくさんの病気と向き合って、18歳9カ月24日の生涯をまっとうしました。たくさんの人に愛され、村田さんのもとに多くのメッセージやお花が届けられました。

――いろんなことを乗り越えたのですね。

「若いときに脱走もしてるし、警察のお世話にもなってるし(笑)やっぱり19年近く生きているとすごい経験値は高いですよ。タクシーにぶつかったし、子宮蓄膿症で手術もしてるし。3歳くらいまで柴犬って天真爛漫というか、まさしくそんな感じやって。消防団犬を始めたのは08年の5歳くらいですから、ちょびっとは落ち着いてるんです」

――亡くなる前の様子はどうでしたか?
「腎臓が悪くて、3、4年間薬を飲んでいたんですけど、1年くらい前から1時間おきに起きるというか、うろうろしたり。亡くなった日の前日に、足が立たなくなりました。それまでは後ろ足を補助するハーネスをつけてちょっとずつ歩いたり。長くは歩けないけど、2日前までお散歩に行ってたんで。ルナを連れていくのに一緒に抱っこして連れていって、ちょっとその辺を歩きました。亡くなる前日に足が立たなくて『寝たきりになっちゃうな』と思ったけど『寝たきりになっても抱いて連れていって、外で寝転んだらいいかな』って思ってたら、次の日起きて、ちょっと水を飲んで、なんか眠たそうで寝かしてあげたら、そのまますーっと。苦しむことなく寝るように」

 5月21日にココちゃんは天国で19歳の誕生日を迎えました。誕生日にもお花が届きました。

――誕生日当日はどんな気持ちでしたか?

「当日は忙しくてあんまり何も考えなくて。しょんぼりは全然関係ないときにするんですよね。亡くなったことは認めてるんですけど、買い物とかに行くと、帰ってきたときに『あ、いない』ってしょんぼりする。今回の誕生日も家では迎えられなかったけど、みんながおめでとうって言ってくれて。インスタをやってると、わんちゃんの友達でココより若い子が亡くなったりするんです。亡くなるのは耐えられないんですけど、人間より寿命は短いのでどうしても亡くなる。そういうお友達がお空にいるし、楽しくやっているのを想像すると、持ちこたえられるというか、なんかいろんな気持ちです」

 ココちゃんの四十九日が過ぎました。村田さんはSNSに「虹の橋の袂より、ちょくちょく帰れないみたいで、ミニココが我が家の一員になりました」と、ココちゃんにそっくりなぬいぐるみの写真を投稿しました。

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