SMAP解散後、新しい地図のメンバーとして活躍している香取慎吾。一時はテレビから遠ざかっていたが、近年は「ワルイコあつまれ」「倫敦ノ山本五十六」など、NHKを中心に出演も多い。
この「香取」という名字、全国ランキングでは1800位台というメジャーな名字で、珍しいという感じはしないと思うが、自分の周りに「香取」がいた、という人はそれ程多くないはずだ。というのも、「香取」はメジャーな名字としては珍しく、その分布が極めて偏っているからだ。
「香取」さんが集中しているのは、千葉県北部、利根川の右岸に位置する香取市香取地区。ここが「香取」さんのルーツの地だ。ここには、神武天皇より一足先に天照大神の命で高天原から地上に降り立ったという経津主神(ふつぬしのかみ)を祀る香取神宮がある。
香取神宮の格は極めて高く、江戸時代以前に「神宮」と名乗っていたのは、伊勢神宮・鹿島神宮と合わせて3つしかなかった。
そして、代々この神社の神官をつとめているのが香取家で、経津主神の末裔でもある。香取一族は周辺に広がり、現在でも「香取」さんの大半はこの付近に住んでいる。
そして、同じく大河ドラマ「青天を衝け」の徳川慶喜役や、「ブラタモリ」のナレーションなど、やはりNHKを中心に活躍する草彅剛。こちらはやや珍しい名字である。
この「草彅」という名字に使われている「彅」という漢字はJISコード第二水準外で、近年まではパソコンでは表示できずネット上では「草なぎ」とひらがなで書かれていた。こうした第二水準外の漢字を使う名字は多数あるが、そのほとんどは極めて珍しい名字で、「草彅」のように名字ランキングで5000位台という名字は少ない。
そもそも「くさなぎ」とは草を薙いで新たに開墾した土地を指す言葉で各地にあるが、漢字では「草薙」と書くことが多い。
ところが、秋田県の「くさなぎ」は「草彅」と書くことが多い。この「草彅」一族には、平安時代の後三年の役(前九年の役とも)の際に、弓を持つ源義家の前で、刀で草を薙いで道案内したため、弓篇に前+刀と書いて「草彅」という名字を賜ったという言い伝えがある。
草彅剛は愛媛県生まれの埼玉県育ちだが、もとは秋田県の出といい、この草彅一族の末裔である。