どうして、みんな「とりあえずビール」なの? “日本文化”の起源を解明すべく、酒類小売り業者が調査

松田 義人 松田 義人

 

コロナ禍で飲み会の機会は著しく減っていますが、家飲みであっても、どういうわけか人は「とりあえずビールから(とりビー)」飲み始める人が多いように思います。かくいう筆者もこの「とりビー」派であり、いきなりサワーやハイボールから飲み始める、ということはほとんどありません。むしろ、日本のビール市場はこれら「とりビー」派たちに支えられて巨大産業になっているのではないかと思えるほどです。

しかし、何故「とりビー」派がここまで多いのでしょうか……この素朴な疑問に迫るべく、昨年、酒類の小売を行うチェーン・カクヤスが興味深い調査を行いました。今回はこの調査結果をもとに、「とりビー」派の謎についてご紹介します。

「とりビー」派は7割近く。さらに年配になると「とりビー」傾向が高まる結果に! 

まず、「とりあえずビール」から飲み始める人の数を示したデータです。カクヤスが実施したアンケート調査の有効回答数369のうち、なんと7割近い人が「とりビー」派であることがわかりました。「時と場合による」という人もいますが、これも加えると、なんと約9割モノ人がビールから飲み始める結果に……。

また、「とりビー」派を世代別で見てみると、20代から40代までは60%台であるのに対し、50代から70代以上は70%台。最も高いのは70代以上で79%にも及んでいます。この世代別調査結果から考えられるのは、日本では古くから「とりビー」の慣習があったのではないかということ。言い切ることはできませんが、年配の人ほど「とりビー」傾向が強いということは、新しく始まった習慣ではないことだけはうかがい知ることができます。

「そういう社会の風潮だから」といった「偽とりビー」派も一定数いる!

 

次に「とりビー」派に対し、「どうしてとりビーなのか」をカクヤスが尋ねたところ、下記のような結果が出ました。

それ以上の理由はないであろう「ビールが飲みたいから」が218人と圧倒的に多い一方、「そういう社会の風潮だから」が23人、「本当は違うものを飲みたいが、周りに合わせたほうがよいから」が22人います。この「本当は違うけど、風潮や周りに合わせて我慢しちゃう」というどこか日本人的な「偽とりビー」も一定数いることがわかりました。

しかし、依然として日本の「とりビー」文化の起源は見えてきません。さらにカクヤスでは「とりビー」派になったきっかけになった調査結果も発表しています。

 

最も多かったのが「学生時代、部活やサークルでの飲み会」の44.7%、次に多いのが「会社の飲み会」の35.9%という結果になりました。「とりビー」の起源はやはり「周りに合わせて」の感じから始まったものの、「とりビー」習慣が板につき後々もその人の嗜好となっていくのかなと思いました。

他方、アンケートの中には「『とりあえずビール』ではなく『ビールそのもの』が好きなのだ」「『とりあえず』なんてビールに失礼だ」という根っからのビール愛好家の意見もあったようで、一概には言い切れないところもあります。

 

「結局ビール好きが多い」という単純な結論!?

カクヤスが発表した調査結果は、明確に「とりビー」の謎を解明するには至っていませんが、それでもこの謎に一歩迫ったという点で実に興味深いものでした。最後にカクヤス担当者にも話を聞いてみました。

「今回の『とりあえずビール』の調査は、弊社メールマガジンのネタを社内で募った際にメンバーから出た案の一つでした。『そういえばどうして皆<とりあえずビール>なんだろう?』と。また、『若者のビール離れ』が叫ばれる昨今でもあり『とりあえずビール』派の割合は年代で違いが出るのでは? という仮説のもとでの調査実施でもありました。

しかし、年代別にもちろん差は出たのですが、思ったほどの大きな差はなく『とりあえず』と言いながらも、『結局ビール好きが多い』ということでは? とも感じました。ある意味とても単純な結論でした。

カクヤスでは数多くのビールを扱っており、最近流行のクラフトビールも扱っております。外飲みが難しい分、普段よりちょっと良いお酒を選んで、ゆったりとしたおうち時間を過ごす際に、是非カクヤス店頭でのご購入や宅配などを活用していただければ幸いです。また、当社は飲食店向けの販売も行っておりますので、居酒屋さん等でしか飲めないお酒も多く取り扱っております。そのようなお酒でおうちで外飲み気分を味わっていただければ幸いです」(カクヤス担当者)

 

「結局ビール好きが多い」とはこれ以上にない答えですが、確かに酒飲みの間で「ビールがとにかく苦手」という人がほとんどいないことも事実です。それだけ日本人の間にビールという酒が浸透し、酒の代表選手であるようにも思いました。この興味深い調査結果をつまみに、今晩も「とりビー」から晩酌を始めたいものですね!

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