パパはビール、ママは洗剤のご来場プレゼント 「考え方が古いのでは…」とママが抱いた思いに、反発の声も

竹内 章 竹内 章

とある折り込み広告で目にした「パパはビール、ママは洗剤」というご来場プレゼント。これって、パパ→外でお仕事→お疲れさまですプシュ、ママ→家事好きだよね→ほら、洗剤あげるねーという無意識の性差別? 「洗剤嬉しいけど何でママは洗剤でパパはビールなん?パパに洗剤飲ませとけよ(?)」。8万超のいいねがついたカウンターツイートをきれいにきめたセセリ(@tonariniunko)さんに聞きました。

セセリさんによると、チラシは地域新聞の折り込みにあった住宅展示場の商談会のものでした。「企画1 ご来場特典」(※新築住宅をご検討中の方に限ります)として、パパへビール2本、ママへ洗剤詰め合わせ、お子さまへお菓子詰め合わせをプレゼントするというもの。

男性=ビール、女性=洗剤という設定が気になったセセリさん。「女性は家事が好きだよね、洗剤あげるね! 男性は仕事で疲れてるからビールでも飲んでゆっくりしてなよ」と解釈できるプレゼントは、性別的役割を押し付けられているような気分になり、ツイートしたそうです。セセリさんに聞きました。

「まだこんな昭和なことを…」

ー怒りを吐露したツイートは8万以上のいいねがついています。

「専業主婦も日々の家事やちょっとでも目を離すとけがをしてしまう存在を育てています。精神的・肉体的に疲弊するのは男性と同じです。怒りと言うより『まだこんな昭和なことを言ってる会社があるんだ!』という気持ちです」

ーパートナーの方はどんな反応でしたか

「見てみて〜とチラシをそのまま渡しまたところ、夫も『考えが古臭いね』と言っておりました」

ーセセリさんの家庭はどのような分業ですか

「夫婦でひとつの家を切り盛りしているので、お互いが一人暮らしをしている時と同じように家事をしています。明確な役割はありません。例えばどちらか1人が新型コロナに感染し、隔離されたとしても、何一つ変わることなく、育児や家事がお互いに同レベルで行えます。 実は夫の方が家事能力が高いので甘えています」

「ツイートに反発する人に驚いています」

ーパンチが効いたツイートを理解できず、言葉を額面通り受け取ってしまう人も

「いつもの悪ノリメンバーが集まる女子会のノリで投稿しましたが、ユーモア表現の通じない方々からバッシングに驚いています。私をよく知らない人、特に性別的役割について関心を持たない方やこのチラシを作った側、おそらく昭和の男性からの反発だったと思っています」

ーセセリさんの真意をあらためて

「私が伝えたかったのは、『ママだから洗剤嬉しいはず』という思い込みは令和の時代にそぐわないよということです。『洗剤は家計が助かるのでは』というご意見もありましたが、女だからではなく、家庭を運営するものとして洗剤はありがたいです。それならパパだって洗剤をもらったら家計が助かるからうれしいですよね? パパと子供には嗜好品、ママは生活用品という設定からは『ママは家族のためになることが好きなはずだよね』的な意味合いが感じられます。なぜママだけ生活用品なのか、と」

ーそうした決めつけは男性にとっても

「私の夫はお酒が好きですが、ビールと洗剤なら洗剤を選ぶかなと思います。私が今回の取材に対応している間、黙って夕飯の洗い物をしてくれている家事もする良き夫なのに『仕事だけをしてビール飲んでゆっくりしている存在』と思われるのも夫にとっては嫌なんじゃないかな〜と思います」

プレゼント企画を担当する方へ

Twitterを検索すると、こうしたキャンペーンは過去にも問題視されていました。セセリさんは「パパだからコレ!ママだからコレ!ではなく、どちらかを選べるようにするか、『御家族さまにこちらを』でプレゼントを用意した方が私はいいなぁと思いました」と語ります。

プレゼント企画を担当することになった方、いかがでしょうか。

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