春から始まるひとり暮らしの新生活。いつか猫と一緒に暮らしたいけど、あまりお金に余裕がないので大丈夫かな―。そんな不安がある方もいるのではないでしょうか。猫にかかる費用と、育てるためにどの程度の貯金や収入が必要かを見ていきましょう。
猫を育てるための費用の平均は月約1万円
猫を育てるためには、キャットフード・おやつ代やトイレ用の猫砂代、おもちゃ代、医療費などさまざまなお金がかかってきます。日本獣医師学会の「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査」(平成27年度)によると、「1カ月に猫にかける費用」の平均は10280円。月1万円未満と回答した飼育者が最も多く(全体の65.7%)、次いで多いのが1~2万円と答えた飼育者(全体の23.8%)となっています。
猫を育てる費用のうち、特に大きな割合を占めているのが「医療費」です。前述の調査で「1カ月に動物病院にかける費用」の平均は6991円となっており、猫にかける費用全体の約7割を占めています。動物には公的な健康保険制度がなく全額自己負担となるため、一回の受診で1万~数万円、誤飲や骨折などの手術の場合は10万円以上のお金がかかるケースも少なくありません。
さらに費用面で心配なのが、猫が高齢になってくると、腎臓病をはじめさまざまな病気にかかりやすくなり、医療費が増加する傾向にあることです。前述の調査で「1カ月に動物病院にかける費用」を猫の年齢別に見てみると、0~6才にかかる費用の平均は6779円、7~12才では6467円、13才以上では7991円と、13歳以上の高齢になると費用が増加していることが分かります。
月々の出費に加えて、30~50万程度の「猫貯金」もしておきたい
したがって猫を育てる際は月々の出費に加えて、猫の老後や万が一に備えたお金を30~50万円程度確保しておくのが望ましいです。貯金額が心もとない場合は、猫のための専用口座を作っておき、毎月数千円ずつからでも積み立てておくのがよいでしょう。民間の保険会社が提供する「ペット保険」に入っておくのも1つの方法です。月1000~4000円程度で加入でき、契約内容によっても異なりますが、入院・手術・通院などにかかった費用の一部が補償されます。
ひとり暮らしで猫を飼うなら、年収300万円以上を1つの目安に
では、仮に猫の生活費を月1万円負担し、猫用の積立を月5000円ずつ行う場合、どのくらいの年収があればよいのでしょうか。
ひとり暮らしの方が猫を飼う収入の基準として、年収300万円程度を1つの目安とするのがいいでしょう。年収300万円の場合、手取り年収は約240万円、手取り月収なら約20万円になります。その中で生活費の内訳を考えると、手取り月収のうち家賃を6万円、食費4万円、通信費1万円、水道光熱費1万円、日用品費・雑費2万円、交際費2万円、貯金2万5000円程度とすれば、猫費1万5000円を負担しても無理がありません。
年収200万円代でも、猫を飼うこと自体は不可能ではありませんが、生活に余裕がないため、普段から猫の健康に配慮したり、病気になったときに手厚い治療を行ってあげたりするのが難しくなりそうです。